新カテゴリー始めます
当ブログ・YMのメンズファッションリサーチは2020年8月31日の初投稿以来、現時点で676記事の投稿に達しました。
これまでは購入品・所有物のレビュー、ニュース、ショップやファッションに関わる人物の紹介等を中心とした内容で運営してきましたが、今回より新カテゴリー「ファッションのルーツを探る」と題して様々なアイテムの根源・起源をご紹介してい行きたいと思います。
「意味を理解して所有する・身に付ける」というのは、このブログを始めた当初から根底に流れているテーマの一つでした。
自らの範疇にあるものを、何となく選び何となく身に付ける。それもまたある意味現代的な感覚なのかもしれませんが、そのルーツ(根源)を把握することは思いの外意義深いものです。
「おしゃれになりたい」と悩んでいる方がいたら、「勉強をしてみると随分変わる」と話すことが多いのですが、大袈裟に言うと「ファッションは文化」だし「教養の一環である」とも思うのです。賛否あるのは承知の上の見解ですが。
購入して、身に付ける物はその人を現すファクターであるし、正しい身だしなみを理解することもそれらとかなり近い意味合いを持っている気もしなくもありません。
・・・まあ、御託はこの位にしておいて・・・この記事を通して少しでも皆さんの実り・・・とまでは行かなくとも、知人等との会話の中での蘊蓄(うんちく)の一環にでもなれば幸いです。
ファッションのルーツを探る① スニーカー編
スニーカーの起源=ゴムの歴史
スニーカーの発祥について探求することは、即ちゴムの歴史を探求するということになります。ゴム製のソールこそがスニーカーを構成する上で最も欠かせない要素であり、現代に於いてもそれは全く変わっていません。
後述しますが、SNEAKER(スニーカー)の語源はSNEAK(スニーク)。訳すると「忍び寄る」となります。
忍び寄ることが出来るほど静かに歩ける。それがスニーカー。その為に必要なのはまさしくゴム製ソールなのです。
アメリカ人のチャールズ・グッドイヤーは1830年代当時、家業のボタンや農作業具製造業を継ぎ営んでいましたが、ある日ひょんなことからゴム製品の開発に興味を持ちます。やがてあまりの傾倒ぶりのせいで、遂には債権者に訴えられ刑務所に入り、挙句の果てには無一文になりますがそれでも諦めず、1839年遂に加硫ゴムの特許を取得します。ただし、製品化には変わらず苦心していました。
そんな中グッドイヤーは1843年にイギリスに成分、製法を明らかにせずにサンプルを送付します。そのサンプルを分析・研究したトーマス・ハンコックが加硫ゴムの製品化に成功。初の製品化へ発展させます(バルカナイズド製法:まだ固まっていないゴムをシューズの本体部とソールの間に挟み専用の窯に入れて高温で圧力を加え加硫剤を加えてゴムを硬化させる)。
このグッドイヤーとハンコックの特許問題はタッチの差でハンコックが先んじますが、やがて訴訟に発展することに・・・。
因みに、チャールズ・グッドイヤーの息子・チャールズ・グッドイヤー・ジュニアが開発したのがグッドイヤーウェルテッド製法です(ここは今回の主題とは逸れるのでまたそのうち機会があれば)。
スニーカー誕生
前節の内容と重複しますが、「スニーカー」はソールにラバー(ゴム)を備えたシューズの事。
1860年代にイギリスの上流階層がクリケットやテニスをする際にゴムソールのシューズを用いたのが根源だという説が有力です。
先述したゴムの製品化ですが、工業の中心だったのは自転車や自動車のタイヤであり、シューズが作られたのはその余剰材をもっての事だったようです。
そんな中、アメリカのゴムメーカー9社が合併して設立されたUSラバーカンパニーから1916年に初のスニーカーブランドが誕生します。
出典:楽天
それが「Keds(ケッズ)」。「Kids(子供)」と「ped(足)」を組み合わせた造語で、「アメリカの子供はケッズで育つ」と言うキャッチフレーズも誕生しました。
出典:楽天
「SNEAKER(スニーカー)」は1800年代に辞書等で登場した名称ではありますが、それをアメリカ全土に拡げ世界のスタンダードにしたのはKeds(ケッズ)だったのです。
まとめ
出典:NIKE公式
その後、1950年代にアイビーボーイたちがキャンパスやストリートでスニーカーを履き始め、スニーカーは一般的な生活の一部へと馴染んでいき始めます。
1980年代中盤、マイケル・ジョーダンを広告塔に選んだナイキはまだ無名だった彼と3億4千万円の大型契約を結び「エア・ジョーダン」を開発。それまでのバスケットボールシューズのイメージ一新したデザインを搭載したエア・ジョーダンはジョーダン自身の飛躍と共に爆発的な人気を博します。これが今もなお圧倒的な知名度を誇るエア・ジョーダンの起源。
現代のファッションに欠かせないアイテムであるスニーカー。掘っていくとこのように深い深い歴史があるのです。
チャールズ・グッドイヤーの、加硫ゴム開発に対する狂気的な情熱がなければ、私達の知るスニーカー史はちょっぴり変わっていたのかもしれませんね。
当カテゴリーでは今後も様々な身の回りのファッションアイテムについての根源・起源を欲し下げていきたいと思います。宜しければ今後ともよろしくお願い致します。
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