リブランディングしていたMERREL(メレル)
出典:メレル公式HP
近年、MERREL(メレル)のシューズがトレンドに躍り出ている。
都会でも街中でモアブシリーズを中心に若者が挙ってMERREL(メレル)を履き、インフルエンサーも続々とネタに採りあげている。勿論そういう情報はこの耳にも入ってくるわけだ。
しかし、我々世代からすれば、いままでMERREL(メレル)は世間の最前線を席巻するようなブランドというイメージはなかった。
質実剛健でモノは良く、ジャングルモックやカメレオンといった永世定番アイテムの評判は高いが、それはあくまでも道具としての評価であって、デザイン面の事というわけではない。
出典:メレル公式HP
誤解がないように述べておくが、私は少し前までMERREL(メレル)の代表作且つ代名詞的アイテムのジャングルモックを愛用していた。
このジャングルモックは履き心地、汎用性、コストパフォーマンス等、あらゆる面で極めて秀でている同ブランドが誇る傑作中の傑作だ。似たようなコンセプトのシューズを他ブランドもリリースしているものの、ジャングルモックのクオリティに比肩するものは存在していないと言っても良いほどである。
出典:メレル公式HP
さて、そんな良くも悪くも地味だったMERREL(メレル)だが、2019年にリブランディングに着手していた。2020年にMERREL(メレル)UKが主体となり新プロジェクトを開始。元々培ってきた、地味ながらも剛健な地盤の上にファッション性とデザイン性をプラスした商品展開を始める事となる。
出典:メレル公式HP
こちらの水陸両用サンダル「ハイドロモック」が20~30代の若者の琴線に触れ、若年層に一気にMERREL(メレル)の名前は知れ渡った。同時にブランドイメージの刷新にも成功したと言えるだろう。
感度の高いセレクトショップでの取り扱いも増え始め、MERREL(メレル)は「トレイル分野の道具ブランド」からファッショナブルなブランドへと様変わりしていったのである。
出典:メレル公式HP
1981年にアメリカでカスタムメイドのカウボーイブーツ職人がハイキングブーツを作ったのが始まりのMERREL(メレル)は、同カテゴリーのサロモンやキーン等と並び、2020年代の日本のストリートの主役の一角を担うようになったのだ。
MERREL(メレル)MOAB(モアブ)3シンセティックゴアテックスレビュー
概要
今回レビューするMOAB(モアブ)3も今や現代のMERREL(メレル)の代表作になっているが、そもそもこれは最近発表されたモデルというわけではない。
リブランディング前からMERREL(メレル)がトレイルモデルの中枢に位置付けているシリーズがMOAB(モアブ)で、以前から大型スポーツ専門店に行くとアウトドアシューズのコーナーに当たり前に陳列されていたのである(初代モアブは2007年発売)。
近年のトレイル(ランニング)シューズのトレンドからMOAB(モアブ)にも火が点き、2023年9月に販売開始された同シリーズの新作MOAB(モアブ)3は徐々に注目を集める。
そして満を持して登場したゴアテックス搭載モデル「シンセティックゴアテックス・トリプルブラック」は3か月ほどで早くもサイズ欠けが発生するほど人気を博しているのだ。
ゴアテックス搭載
今回入手したアイテムは先述した「MOAB(モアブ)3シンセティックゴアテックス」。MOAB(モアブ)3に近年すっかりお馴染みの防水透湿性素材GOA-TEX(ゴアテックス)を搭載したモデルになる。
ゴアテックスはアメリカのWLゴア&アソシエイツ社が開発した素材で、最早猫も杓子もゴアテックス、特にスニーカーフリークを中心に爆発的人気を博している。
・・・実を言うと、私は意図的にゴアテックスを避けていた。最近のゴアテックスに関する過熱ぶりはちょっと度を越えていると感じているからだ。
とあるYouTube動画を視聴していた時に、スニーカーヘッズとして有名な芸人が「ゴアテックスのロゴを見るだけで(気持ちが)アガる」と言っていたのを見た。こういう感覚というのは、物事の本質を見失いトレンドの表面をかすめ取るような、極めて軽薄な表現であると思う。
元々ゴアテックスはテントに使用される用途で凡そ半世紀ほど前に登場した。それからアウトドアシーンを中心にその画期的な機能性と実用性の高さから幅広い活躍をしてきた経緯がある。
ロゴの格好良さ云々や、最近は大きくアッパーに「ゴアテックス」と表記されたシューズもあったりするが、あくまでもゴアテックスは素材の名称であり、それを取り違ってはならないと考えている。なので、あまり好きではなかったのだ(WLゴア&アソシエイツ社のブランディングが功を奏したという事実は目を見張るものがあると分かってはいる)。
・・・なので、本当ならばこのピスネームも除去したいくらいなのだが・・・。
今回このMOAB(モアブ)3を選んだのは、(根っからのインドア派なので山にはいかないが)雨天などの悪天候時に履くもの、或いはアクティブなシーンにも対応できるシューズを持っていなかった事が理由なのである(滅多にそういうシチュエーションに出くわすことはないが、なんだかんだであらゆるシーンに対応できるすとっくがないとふ不安にはなってしまうものだ)。その結果当て嵌まったのがゴアテックス搭載のシューズだったということなのだ。
モノを選ぶ時、余りにも流行やシーンに囚われすぎるのではなく、実用性、用途を鑑みて選ばないと、履いている(身に付けている)自分自身が嘘くさく映ってしまいかねない。私はそう思っている。
シンセティックレザー&メッシュアッパー
アッパーはかなり複雑な切り替えで成っている。普段ならばアッパーにはアディダスのスリーストライプでさえ要らないと思うくらいシンプル志向なので、自分としてはここまでデザインの入ったものは久しぶりである。
素材はシンセティックレザー・・・つまり合成皮革とメッシュのコンビ、そして先述のゴアテックスメンブレンが搭載。業界随一の防水性を誇りながら軽量で透湿性にも優れているという、いいことずくめの様相だ。
革好きとしては合皮という部分にはやや不納得ではあるし(MOAB3のノーマルモデルはピッグスキンが使用されている)、デザイン面は慣れるまで一定の時間を要しそうだ。
ただ、他カラーと比べてこのトリプルブラックはやや「浮き」が弱めなので、このカラーに人気が集中しているのは大いに頷けるところである。ブラウン等他のカラーだとなかなかコーディネートの難易度は高いだろう(アウトドアシーンでは全く以てアリだが)。
シューレース・ライニング・トゥキャップ
シューレース、ライニング等には100%リサイクル素材を使用している。先述の合皮と合わせて、MERREL(メレル)はブランドコンセプトにサステナビリティ(エコフレンドリー)を掲げている関係が見え隠れしている。要するに環境問題への関与が強いブランドなのだ。
つま先のラバートゥキャップは外部衝撃の吸収性に関して高い性能を発揮する。
シュータン・ヒールカウンター
このシュータンの厚みを見て頂きたい。極めて分厚いのが分かるだろうか。
古今東西様々なシューズに足を通してきたつもりだが、ここまで分厚いシュータンは初体験である。勿論アウトドアシーンでは小石や砂などの侵入を防止してくれる。
まさしく包み込むようなフィット感を実現しているが、決して蒸れるという感覚はなく、本当に良く計算されていると感心させられた。
ヒールカウンターも剛健な作りで抜群の安定性が担保されている。だが、最上部はメッシュになっており履き味が硬くなり過ぎないような構造になっている。
ストラップが付いていて着脱のしやすさに干渉してくれるのも嬉しいポイントだ。
ミッドソールとアウトソール(ビブラムソール)
インソールは勿論カップインソールになっていて、取ってみるとご覧の通り。触ってみると分かるのだが、かなり優秀な衝撃吸収システムが搭載されている。
そして極めつけはアウトソール。ビブラム社の「ビブラムTC5+」というソールになっている。これはメレル専用ソールとのことで、他ブランドでは決して見る事が出来ないビブラムソールなのである。
最早古今東西様々なシューズのアウトソールを担っているビブラム社だが、ブランド専用ソールというのはあまり多くは見かけない。
ブランドやモデルが違っても同じ型のビブラムソールを搭載しているというのは偶に見かけたりするが、この唯一無二のビブラムを味わうならばMOAB(モアブ)を履くしかないという寸法だ。これにはさすがに少し胸が高鳴ってしまった。
実は私はかなり久し振りにビブラムソールを搭載したシューズを履いたのだが、やはり「さすがはビブラム」と思ってしまった。
グリップ力、軽量性は言うまでもないが、地離れというか、踏みこみの軽やかさというか、全く以てクオリティが高い。やはり「ビブラムはビブラム」なのだ。
コーディネート・履き心地・サイズ感
アイウェア:OLIVER PEOPLES SHELDRAKE
シャツ:Graphpaper
ボトムス:MANUAL ALPHABET
シューズ:MERREL MOAB3
普段スニーカーが27.0~27.5、レザーシューズは26.5~27.0を選ぶ私が27.5㎝を着用。木型は決して細身ではないと思うがフィット感が強いので普段よりも小さめを選ぶと若干窮屈さを感じてしまうのではないかと思う。
コーディネートはアッパーの切り替えが多くシルエットもボテっとしているので(特に大人は)なるべくスマート且つシンプルに纏めるのが良策だろう。
逆にダサさを愉しむというか、ダッドな雰囲気を活かすのも悪くないかと思うが、やや難易度は上がると思うので要注意だ。センスに自信のある人以外は冒険は禁物だと言いたい。
履き心地だが、「守られている感じ」が強く、ホールド感が相当強い。アクティブな環境下で使うシューズなので当たり前だが、ランニング系のスニーカーやレザーシューズ等とは明らかに分野が違う。
しかし、繰り返すようだがこのシューズには泣く子も黙るゴアテックスが搭載されている。蒸れるというような感覚は皆無で、(まだ履いてはいないが)長時間の着用をする場合でも快適に過ごせることは請け合いだろう。
まとめ
実際に足通しをし、使ってみると、このシューズが巷で高い評判を得ていることを実感できる。
地味(地道)で知る人ぞ知るブランドだったMERREL(メレル)の進化をまざまざと感じられる一足と言って良いだろう。かなり大きく変わったと素直に感じた。
MERREL(メレル)はアメリカ発祥のブランドなので欧州の香りを感じるSalomon(サロモン)とはまた違った魅力を備えている。リブランディング後もその辺りの雰囲気は残っており、長年日本での運営を手掛けている丸紅の手腕には改めて感服するところだ。
余談だが、そういえば先日ナイジェルケーボンの運営会社を丸紅が買収したというニュースを聞いた。伊藤忠商事がKolorを買い取ったというニュースをファンが嘆いているようだが、丸紅ならばうまくやってくれそうな気がしている。ナイジェルケーボンの良さやイデオロギーを消すことなく運営して欲しいと願っている。
現在このMERREL(メレル)MOAB(モアブ)3シンセティックゴアテックスのトリプルブラックはなかなかゴールデンサイズを見つけるのは困難になっているようだが、もしも自分の適応サイズを見つける事が出来たらマストバイである。きっと後悔のない選択になるだろう。
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