YMのメンズファッションリサーチ

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来生たかおのコンサートを両親にプレゼントするという、ブログらしいブログ

 

来生たかお「Stand Alone2022」が熊本に

来生たかお

出典:来生たかおのチケット情報 - イープラス (eplus.jp)

 

「来生たかお」と言っても、今の若い方々などはピンとこないだろう。

それもそのはず、来生たかおさんはもう御年71歳のシンガーソングライターである。

有名な楽曲は中森明菜に提供した「セカンド・ラブ」、「夢の途中」などだろうか。

昭和世代なら誰もがその名を知っている方だという事に異論はないだろう。

そんな来生たかおさんがライブツアーを敢行しており、8月に来熊すると知ったのは数か月前のこと。

東京や神奈川、大阪などの都心近くに居住している方々にはピンとこない話かもしれないが、熊本のようなところに住んでいると、全国的に有名なミュージシャンを直接目にすることは割と稀有なことなのだ。

来生たかおさんの来熊も例に洩れず、琴線に触れた。

 

来生たかおが大好きな父

私の父は音楽が趣味の人でもある。

アコースティックギターを嗜み、東京で過ごした学生時代は様々なカルチャーに触れて育ってきたようだ。

私が子供の頃はジャズを聴かされ、クラシックのコンサートにも連れて行って貰ったりしたものである。

その当時流行の邦楽を聴いていると「くだらない」とケチョンケチョンにこき下ろされていた。クラシックやジャズの歴史を知っており、若い頃はフォークソング等に触れてきた団塊世代の父にとって、背景の弱い若者流行りの音楽は滑稽に映ったに違いない。口が悪い人なので、それはそれは遠慮なしに否定された(笑)。

さて、そんな父だが、昔から来生たかおが大好きだった。ジャズやクラシックと共に、来生たかおや井上陽水等を繰り返しテープやレコードで聴いていた。

先述したように、来生たかおが熊本に来るという情報をキャッチした私は、「もしかして、プレゼントしたら喜ぶだろうか」と、咄嗟に思いついたわけである。

 

父、迷う

チケットの予約が始まる頃、父に電話をかけ、「母と二人で行ってみないか」と誘ってみた。

「うーん・・・」

父は迷っていた。理由は明確に言わなかったが、大体わかる。

人混みが嫌いだし、最近は体調も優れない。体力的にも自信がないのだろう。父はもう72歳だ。

しかし、暫くして、「もう(コンサートに行くなんて)人生で最後かもしれないから、行ってみる」と返ってきた。

最近は近所のジムに通い、たまに町内のコートにテニスをしに出掛ける以外ほぼ遠出をしていないのに、踏み切った様子だった。

コンサートの1週間前に電話をすると、きちんと覚えていて少しほっとした(最近、少し忘れっぽいから)。

ただ、「チケットは幾らなのか」と言っていた。

誘ったときにプレゼントするからと言ったことをすっかり忘れている様子だった。やはり、少し呆っとしている・・・。

当日は私の住む町まで在来線で来てもらって、そこから会場まで車で送ることになった。

 

当日

駅まで車で迎えに行くと、母と二人で元気に階段を降りてくる。

言い忘れたが、母は父が好きなものは大体好きなので母は母で喜んでいた。音楽がどうとかそういうことはよくわからない人だが、今回も一つのイベントとして捉えている。母はそんな人だし、父と久しぶりに遠出すること自体が楽しい様子だった。

車で約30分間。新型コロナの影響でお盆も帰省せず、最近はめっきり会う頻度も少なくなってしまっているので、親子で過ごす時間は実に久しぶりである。

2人で後部座席に座ると思っていたが、母は躊躇なく助手席に座ってきた。父は後部に。

元々、父は多弁で口が良く回るタイプの人である。

しかし、どこかぼんやりしていて、良く喋る母の間に時々ぼそっと言葉を挟んでくる感じだった。やはり歳をとったなと正直に思った。

母は若い頃は感情の起伏が激しかったが(家族を守るために必死で働いていたストレスからだったと、今ならば理解できる)、最近は穏やかで、相変わらずどこか子供っぽいところもあるが柔らかな雰囲気になってきた。夫婦の関係も歳をとると共に変容してきたのかもしれない・・・。昔は父の話に相槌を打つのが役目だった母だが今は逆転・・・まではいかなくてもそれに近い雰囲気になっている。

子供ながらにそんなことを朧げに感じていた。

 

到着

会場は熊本駅近くのホールだが、意外と入り組んでいるので入り口まで同行した。

久し振りに一緒に歩いたが、母はともかく父の歩くスピードが遅くなった事に気付いた。前を歩くと急がせすぎてしまうので後ろを歩く。

父と母の背中は、やっぱり昔よりも少し小さく見えた。

 

通路のポスターを見ると、やっと実感が湧いてきたのか、父は「楽しみになってきた」といったような意味合いのことをボソッと呟いていた。

 

すっかり白髪交じりになった父の髪。体型は変わらないし相変わらず服装にも拘りがまだまだ見える。腰も曲がってはいない。

しかし、雰囲気は随分と変わった。久しぶりに会うと余計にそういった印象は強く感じる。因みに母は50代くらいの時からほぼほぼ変わっていないような気がする。まだまだ元気だ。何故かはわからないが少し安堵する自分がいた。

新型コロナ感染対策で住所や名前を用紙に記入した後、父から衝撃の一言が・・・。

「じゃあ、行こうか」

いやいや、俺はここまでだから・・・

「は?」

どうやら私も一緒に中に入ると思っていた様子だった。ちゃんと言っていたのに。

「そうか・・・、勘違いしていた・・・。」

そう呟いた父の顔は少し残念そうだった。どっちにせよ、私はどうしても仕事の関係上もあるし鑑賞は難しかったのだが、その顔を見ると、どうにかできなかったかなという思いも過ぎった。

 

ありがとう

後日、父は「本当にありがとう、とても楽しかった」と言っていた。

「ありがとう」等といって欲しくない。

そんな言われるほどのことはしていない。そんなことを言われるには余りにも細やかすぎる。

そんなのはいいから、その分一日でも長く元気でいて欲しい。

私は、父の背中を見て育ってきた。

母の優しさに守られていた。

それに気付くのが少し遅かったので、本当にここでは書けないような酷い迷惑をたくさんかけてきた。2人とも大変だったと思う。

父は「最後のコンサートかも知れん」と言っていたが、また何かあれば行かせてあげたい。私も不器用なので、こういうことでしか感謝を表現できない。

それに、まだまだ元気でいて欲しい。今度はコロナ禍が明けてから、一緒に、クラシックかジャズでもどうだろうか・・・。

 

 

おまけ(今日のネコ)

 

ねねちゃん・・・。何かと直角になってる(笑)。おもしろい・・・。

 

 

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