沢山生きてきた大人にこそ刺さる歌詞・前編
文系である私は「音」にあまり造詣がなく、楽曲を聴く時にどうしても歌詞に注目します。思春期の頃からあたかも読書をするかのような感覚でMr.childrenの楽曲を聴き続けてきましたが、40代も中盤になり、「刺さる」曲も少しずつ変わってきました。
人は日々を重ね歳をとっていく度に徐々に価値観や考え方、感受性も変わっていくもの。45歳になった今、個人的に刺さるようになったMr.childrenの歌詞を10選しましたのでご紹介します。
但し、皆が知っているような名曲は除外しました。どうせならば隠れ名曲のような様相のものを挙げてみるほうがより良いかと思ったからです。
未完
さあユニフォームを脱いで自由を手にしたらいい
例えば僕は武将で慕った家来が寝返ったっていい
僕が誰だとしても
みんな遠くで笑っていても
自分が誰よりもちゃんとわかっている
胸の中の約束の場所を
出典:Mr.children 未完 歌詞:桜井和寿
「未完」は2015年に発表されたアルバムREFLECTIONの収録曲。隠れ名曲とはいってもスタジアムツアーの表題になっているので認知は広いかもしれませんね。
この時期のMr.childrenは長らく続いた小林武史プロデュースを(基本的に)卒業しセルフプロデュースへと踏み出した頃でした。同じくREFLECTIONに収録されている「足音」や「Starting over」と共にグループの新たな出発を象徴する楽曲だと思います。
誰に何と言われようが、疑われたり裏切られようが自分の道を信じて進むというポジティブな感情が強烈に、ストレートに伝わってきます。
アップテンポな曲なので一度聴いただけでは歌詞が読みづらいのですが、きちんと歌詞を読んだ時に「僕が武将で慕った家来が寝返ったっていい」という部分を読んだ時になんというワード選定センスだと驚愕したのを覚えています。
様々なしがらみに囚われて妥協し、社会の歯車の一部にならざるを得ないのが大人の常。そんな状況を打破したいという欲求、羨望を代弁してくれる素敵な一曲です。
one two three
その場しのぎで振り回す両手もやがて上昇気流を生むんだ
胸の奥で繰り返す秒読み 今前人未到の未来へ 1.2.3
出典:Mr.children one two three 歌詞:桜井和寿
「one two three」は2002年に発表されたアルバム「It‘s a wounderful world」に収録された曲。
軽やかでキャッチーなテンポの中、うだつの上がらない己に対する自嘲から始まりますが、徐々に表現がポジティブに変容していき、最後は下方から這い上がる機会を窺っているという野心的な心境へと着地します。全体の歌詞の構成が見事。
40代になった今、それなりの人生経験を積んできましたが、時々ふとこの曲の歌詞を思い返すときがあります。
上手く行かない時期もあり、どうすればよいだろうと逡巡することも多い。そんな時は「こんな細かいことをやっても無駄」と思うような小さいことをコツコツやってみる。すると不思議なことにそれが再浮上するきっかけになったり。そんなこともあったのですが、まさしくこのone two threeの歌詞の通りかもなと思います。
そして、幾つになっても常に何かに挑戦し続けたい。そんな気持ちも表現してくれるフレーズが散りばめられた名曲。人生経験を積んでいけばいくほど共感できる点が増えていくような気がします。
ロードムービー
街灯が2秒後の未来を照らしオートバイが走る
等間隔で置かれた闇を超える快楽にまた少しスピードを上げて
もう一つ先の未来へ
出典:Mr.children ロードムービー 歌詞:桜井和寿
「ロードムービー」は2000年発表のアルバム「Q」の収録曲です。
何かのインタビューで桜井氏が最も好きな曲と言ったこともある、まさにMr.childrenの隠れ名曲の一つ。
この「ロードムービー」全体の歌詞は、様々な問題を抱えた男女が現実から逃げたい思いに駆られてでオートバイを走らせる様が描かれていますが、引用した部分の表現が秀逸。
夜の街をオートバイで走っていると、等間隔で置かれた街灯に照らされます。体感として2秒ごとに街灯に照らされて明るくなる。その間の2秒間は暗闇。人生を歩いていくと、きっとそのような感じで光と闇が交互にやってくる。良い時期が合っても必ず等間隔で困難がやってくる。確かに自分に重ねても全くの同感なのです。
何なのだ、この感性は!
そう思い、思わず空を仰いでしまいます。
どちらかというと何気に流されてしまうフレーズのような気もしますが、極めて真理を突いているような気がして、大人になった今だからこそ頭にこびりついて離れない。
そして、そんな上り下りの人生ですが、その先に進みたい、その先の未来を信じている。そんな思いでアクセルを踏み込む。
私達はいつだってそんな思いで生きていくのです。それが儚い性(さが)というものなのかもしれません。
Worlds end
飲み込んで吐き出すだけの単純作業繰り返す
自動販売機みたいにこの街にボーっと突っ立って
そこにあるだけで誰かが特別喜ぶでもない
でも僕が放つ明かりで君の足元照らしてみせるよ
出典:Mr.children Worlds end 歌詞:桜井和寿
2005年発表のアルバム「アイラブユー」の収録曲「Worlds end」。一見爽やかで軽快なメロディの曲なので、ポジティブでキャッチーな内容なのかと思いきや奥深く繊細で突き刺すような表現が多い内容になっています。似たような手法の楽曲がMr.childrenのアーカイブには結構あるのですが、その中でも最も好きな曲の一つ。
引用部分では般的で突き出るような取り柄がなく、広大に拡がる社会の中に埋もれている自身の無力さを論じ、それでも微かに放つ力で愛する人くらいは守りたいという思いを吐露しています。般的な自身を自販機に重ねるという、天才的な比喩表現は決して真似ができるものではない芸当だと感じます。
ハル
信号機は誰もいない道にも合図をくれる
愛想などない でも律儀で
誰かに似ている気がした
出典:Mr.children ハル 歌詞:桜井和寿
「ハル」は2010年発表のアルバム「SENSE」の収録曲。一切のプロモーションなしである日突然店頭にCDが並んだという伝説の問題作「SENSE」の中でも特に好きな一曲です。
全体では閉塞感を感じている日々の中で、一吹きした春風の心地よさにこの先の人生に於ける一片の希望を見出すさまが描かれています。
歌詞は最初から最後まで素晴らしいのですが、引用部分の比喩表現が最も秀逸だと思っています。
「信号機」は間違いなく自身の事。部屋から眺めた先に映った信号機は、誰が通っても通らなくても変わらずに動作を続けます。機械的で決まった事しかできない信号機。突き抜けた才能や才覚がない凡庸な自分の様をその様子に重ね合わせているのです。
個人的な話になりますが、私は周囲の他者評とは裏腹に、毎日決まった(決められた)ことをコツコツと地道に続けることが実は最も得意で・・・いや、言い換えると他者と比較して勝るところはそのくらいしか考えられなく・・・凡庸な自分が組織の中で生き延びていくために発揮できる強みはそのくらいしかないとよく思ったりします。そんな心境と噛み合って、とても好きなフレーズであり続けています。「ハル」はMr.childrenの非シングル曲の中で屈指の名曲だと思うので是非多くの方に聴いてほしい思いでいます。
まとめ
大人にこそ刺さるMr.childrenの隠れ名曲歌詞10選の前編5つをご紹介しました。
いつぞやのインタビューで桜井氏はオリンピックのテーマ曲になった「GIFT」の歌詞の考察を述べたアナウンサーに対して「歌詞の内容については自分で『こういう風に思って書いた』というのは勿論あるけれど、世に出た時点でその意味合いは聴いた各々のものになる。だから自分の考えている意味の真相は語らない」といった主旨の発言をしていました。
Mr.childrenのファンサイトやその他の考察サイトも数えきれないほど存在していますが、桜井氏の言うように、受け取ったそれぞれが各々に解釈して感じ取ればよいのでしょう(・・・なので、この記事も私の単なる自己満足だとも言えるわけです(笑))
私はそういう風に言える内容の歌詞が多いこと自体が素晴らしいと思うし、そう言える桜井氏もまた素晴らしいと思います。
後編もまた残りの5曲をご紹介するので良ければ見て下さい。
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