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時を超えて愛される存在
数年前、NTTドコモは25周年でした。
同じ年にMr.childrenもデビュー25周年。
NTTドコモの記念CMに起用されたMr.children。
このCMを視て、改めてMr.childrenは「時を超えて国民に愛される」バンドなのだと感じずにはいられませんでした。
視聴するとわかるのですが、25年間、様々な場面でこの家族の思い出の曲がMr.childrenだということなのです。幸せな場面も、苦悩に思い悩む場面も、出会い、別れ、本当に様々な場面でです。
こんなミュージシャン、なかなかいませんよね。
すごく感動するCMなのでぜひ視てみてください。
前エピソードまではこちらをどうぞ!
エピソード④ 「深海」からド派手な生還!
「深海」「ボレロ」の2つのアルバムで深い海の底に姿を消したMr.children。
地上に戻ってきた彼らは、ド派手な一発をかまします。
「ニシエヒガシエ」
世の中の不条理を一身に受けながらも、不満ばかり並べるだけではだめ。この荒波を超えていく術が分かったわけではないが、東西奔走していく。
そんな、今までの桜井氏からはあまり出てこなかった雰囲気の歌詞をロック調のメロディに乗せてかましたのです。
わたしとしては当時結構衝撃で、夢中になって聴いていました。
このMVはかなり意味深で、字幕と実際の進行がすべて一致していないという作りになっています。
これはひょっとすると、自分たちの楽曲の本当の姿とメディアによって拡散されている姿はまったく一致していないというメッセージなのではないかと、当時のYM少年は思ってのでした・・・。
そして次に繰り出したのが歴代人気ナンバーワン曲に推されることもある「終わりなき旅」。
深海から生還した桜井氏は、ここで一つの答えに辿り着いたかのような曲を作ります。
実に達観した雰囲気のある歌詞。多くの人の心に勇気を与え、涙を誘ったのではないでしょうか。屈指の名曲です。
この流れで唐突に達観したのかな…何か違和感・・・。
・・・その予感は当たります・・・。
「光の射す方へ」とほぼ同時にリリースされたアルバム「DISCOVERY」。これを聴いたとき、「終わりなき旅」という到達点っぽい雰囲気に感じた違和感が当たっていたことを思い知るのでした。
エピソード⑤ 「発見」したのは・・・
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この「DISCOVERY」・・・一度浮上したかに見えた桜井氏の気持ちが、まだまだ揺れ動き迷っている様が明確に読み取れる作品です。
アルバム全体の雰囲気としては非常にダークなもの。
中には「Simple」や「ラララ」などの小さな幸せを慎ましく歓ぶような心地よい曲も混ざってはいますが、アルバムの主観を成すのはやはり、葛藤や孤独、憂いを感じさせるもの。
聴く者の胸を突き刺すかのような強烈なメッセージを持った曲の存在感が強く、非常に攻撃的な印象を与えます。
私の考察としては、まだまだ自我が定まっていない、そう簡単に殻は破れない。
今はまだ、変わっていっている道の途中なのだというメッセージなのではないかと思っています。
見つからない・・・終わらないという苦悩。
個人的には、最終的に真の優しさや温かさに辿り着きつつあるMr.childrenが、その道程でまだまだ苦悩の途中であるというこのアルバムがとても好きです。
非常に人間的で、弱くて、ありのままで・・・方向性が定まっていなくて、不完全で・・・。それがたまらなく胸に刺さるのです。
「DISCOVERY」は、発見という意味ですが、これは皮肉だと思っています。「発見」できていないから発見という題名にしたのでは?
表題曲の「DISCOVERY」も、よく詞をみると何かを「発見できた!」という印象はとても持てない内容になっています。
エピソード⑥ 「Q」変な答え!
そして、DISCOVERYの後、「口笛」「NOT FOUND」というシングル曲をリリースしたMr.children。
口笛はさておいて、この「NOT FOUND」は私はすごい名曲だと思っています。
恋人となかなかうまくリンクできない気持ちの描写から始まり、昨日までその答えを指し示してくれていた場所にアクセスする。
しかし、今日はもう「NOT FOUND」が表示されてしまう。
実に現代的なフレーズを使用し、心情的な空虚感をメタ的な表現方法で綴っている。
「NOT FOUND」なのだ、人間の心情が行き着く答えなど・・・。そう、当時の私は呟きながら大学からの帰途についていた覚えがあります。
さて、2曲のシングル曲のリリース後に発表したアルバムはその名も「Q」。
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今度こそ期待しました。
ついに、桜井氏が「Q(答え)」を私に示してくれるのか・・・。
発売日にアルバムを買いに行き、封を開けて聞き入ると・・・。
実に脱力感のある曲が入り混じった構成。
また、皮肉だったのか・・・
Q(答え)にはまだまだ辿り着けていない様子。
だけど「Q」なのだ。
この題名のヒントはズバリ一曲目の「CENTER OF UNIVERS」!
世の中の矛盾や不条理などを、今まで攻撃的に突いてきた桜井氏。しかしこの曲では、
まあまあ、何事もとらえ方次第。隣の家のレトリーバーに「ボンジュール」なんて言いながら、力を抜いていくべきなのかもね・・・等と若干楽観的な空気感を漂わせています。締めは「世界は素晴らしい」!
これは皮肉ではなく、ちょっとそんな風に本当に傾きかけている雰囲気を感じ取りました。
これまでモラトリアムな心情を強く漂わせていた桜井氏ですが、「Q」まではまだまだ辿り着けなくとも、階段は一歩上ったような。
アルバム全体を見ても、優しい気持ちで聴けるような曲が多い印象。良い意味で脱力できていて、これはこれでMr.childrenの魅力が詰まったアルバムになっています。
「友とコーヒーと嘘と胃袋」は桜井氏が実際に酔っ払った状態で歌っている部分がそのまま音源になっている面白い一節があります。
こういった脱力的な試みから、若干余裕が出てきた感じも読み取れたりします。とても好きな曲です。
Mr.childrenを一年中は聴かない
私は、自分でも明確な理由はわからないのですが一年中Mr.childrenを聴きません。ある一定の時期に集中して聴き、その時期は他のミュージシャンの音楽を一切きかなくなります。
逆に、Mr.childrenを全く聴かない時期に、聴こうと思ってもそれは無理で、気持ちが向かないのです。
何故なのでしょう?
でも、特別な存在だということは確かで、ゆるぎない事実ではあるのですが。
「Mrchildrenと、それ以外」
私の中で世の中の音楽はそういった構成になっているのかもしれません。