「とっておき」CIOTA(シオタ)のタイロッケンコート
普段、別に購入したものをすぐに記事にしているわけでない。
・・・いや、基本的には旬を逃さぬようにそうする傾向は強いのだが、実はずっと公にしていなかった、大事にしている一着のコートがある。今回はそれについて言及したい。CIOTA(シオタ)のスヴィンコットンタイプライタータイロッケンコートがそれだ。
21SSのアイテムだが、2022年頃に購入したものだ。
CIOTA(シオタ)では定番品目になってもいるコートなのだが、きっと永世定番になっていく傑作なのではないかと思っている。
店舗で試着した際に、その美しさに一発で虜になり、コットンのコートとしてはそれなりに値が張るとは思ったが、自分のワードローブに加えることを決心するのにそれほど迷いは生じなかった。
極めて上質なスヴィンコットンは、少しオーバーサイズで着用することで動いた際に絶妙に空気を含みながらたなびく。その様はなかなかお目に掛れない秀麗な雰囲気を醸してくれる。
今回はCIOTA(シオタ)というドメスティックブランドの解説と共に、このタイロッケンコートのレビューをしていきたいと思う。
CIOTA(シオタ)とは
出典:CIOTA(シオタ)ブランドページ
CIOTA(シオタ)は2019年にスタートした、岡山県にある縫製・生地工場「株式会社シオタ」が立ち上げたドメスティックブランドである(つまり、生粋のファクトリーブランドということだ)。
デザイナーは荒澤正和氏。様々な企業デザイナーを経験してきた荒澤氏に株式会社シオタの中野社長が声をかけ、ブランド「CIOTA(シオタ)」は誕生した。
自社一貫生産のCIOTA(シオタ)だが、同ブランドのキーマテリアルはスビンコットン。全てのコットンアイテムに希少な超長綿であるスビンコットンを使用しており、「スビンコットンの良さが知れ渡る=CIOTA(シオタ)の商品が売れる」と豪語するほど絶対的な自信を持っているようだ。事実、スビン=CIOTA(シオタ)の等式は近年のドメブラ界隈ではちょっとした常識のようにもなっている気配すら感じる。
スビンコットンはその圧倒的な光沢感(カシミヤに匹敵するとも言われている)や出現するドレープの美しさ、落ち感の凄まじさ等もだが、何よりもその肌触りの良さ、着心地(履き心地)の良さこそが真骨頂と言われる(ジーンズは硬いという常識を覆したとも言われている)。
荒澤氏も極々単純にその「費用対効果の高さ」が故にスビンコットンを使わない手はないと断言しているほどだ。
出典:CIOTA(シオタ)ブランドページ
長年飽くなきまでのクラフトマンシップを以てモノ作りを続けてきたシオタの工場と様々なステージでディレクションに携わってきた荒澤氏の手腕が融合し、新興ブランドながら日本有数の人気ブランドに成長したCIOTA(シオタ)。服好きならば、一度はCIOTA(シオタ)の作るスビンコットンのアイテムに触れてみるべきかもしれない。
CIOTA(シオタ)スビンコットンタイプライタータイロッケンコートレビュー
それではCIOTA(シオタ)のスビンコットンタイプライタータイロッケンコートをレビューいていきたい。
タイロッケンコートとは
タイロッケンコートとは広義ではベルテッドコートに分類されるが、ボタンによる留め具の代わりにベルトを結んで固定するコートの事である(タイ:結ぶ、ロッケン:閉める)。初めてタイロッケンコートを発表したのはかのバーバリー。1895年にトーマス・バーバリーが世に生出した。
対してトレンチコートは第一次世界大戦後に誕生したもので、タイロッケンの後継と言われている。英国軍が戦場で用いたレインコートが原型とされていて、トレンチは塹壕(ざんごう)の意味である。タイロッケンよりも簡素化された作りでボタンで開閉しディテールはよりシンプルだ。
ディテール
タイロッケンコートの概要は先述したが、リリースするブランドによって少しずつベルトの形状や仕様は変わってくる。
CIOTA(シオタ)のタイロッケンコートはオリジンであるバーバリーのヴィンテージをサンプリングしてデザインしてあり、ベルトに関しては二箇所のバックルで固定する仕様になっている。
こちらは後ろ側。
ボタンの開閉でシルエットの調整が可能になっている。
前はボタンがなくメタルバックルで開閉する。
掛ける側を横にして差し込みくるっと回すと固定される。重厚感のある質感が素晴らしく形状も格好良い。安いものは呼応いう金具が妙にテカテカしていたり形状が単純だったりするが、そういうものとは一線を画していることが明白だ。
襟は立ててボタンで固定することも可能。勿論ボタンのクオリティも高い。
肩はラグランスリーブでクラシックながら実用的だともいえる。
生地
スビンコットンの質感はまさに唯一無二の雰囲気を放っている。
柔らかくしなやかで鈍い光沢を放つ。着用して暫く過ごすと皺が付くのだが、その皺の入り方さえも美しい。
ラペルの形状もクタっとしてくるのだが、どこか上品でこなれ感も感じられる。
タイプライターとは高密度に平織りした生地の事だが動くたびに鳴るワシャッワシャッという擬音が心地よく、揺れる度に仄かに空気を含みフワッとたなびく。
その様には色気を感じるほどの艶やかさが感じられ、我ながら男としての格が一つ上がったような錯覚さえ起こすのだ。
サイズ感・コーディネート
サングラス:MOSCOT
コート:CIOTA
カットソー:EEL PRODUCTS
ボトムス:MANUAL ALPHABET
シューズ:PARABOOT
172㎝58㎏でサイズ5(L相当)を着用。
オーバーサイズの作りだが、アイテム本来の落ち感や雰囲気を鑑みれば大きめ且つ長めに着こなすのが正解だと思っている。そうすることで生地やディテールをより生かすことができるのではないだろうかという塩梅だ。
このオリーブグリーンとカーキ(ベージュ)の2色展開だが、個人的にはより武骨さと男らしさを感じられるオリーブの方に魅力を感じている(恐らくオリジンのバーバリーはベージュの方が正統なカラーなのかもしれないが)。
タイロッケンの特徴を生かす着こなしをしたいならばベルトを締めて着用するべきかもしれないが、寒さが和らぐ春先辺りにカットソーの上からガバッと羽織って出かけるのが好きだ。ベルトは垂らしてもだらしなく見えないように計算されているし、風にたなびいて揺れる裾の感じがやはりたまらなく好きなのだ。
また、開閉用の金具は歩くと「カチカチ」と当たって音を鳴らす。これもまた良い。
まとめ
CIOTA(シオタ)と言えば、ベイカーパンツとワンウォッシュジーンズが特に代表的なアイテムである。
しかし、ブランド側の思惑以上の売れ行きを達成してしまったため、21AWに製造を中止したという。
認知度の過熱ぶりは、それが域を超えて過剰になってしまうと一過性のものになってしまうという危惧があるためということだ。CIOTA(シオタ)の目指すものが何たるかというのが、このエピソードから窺い知れるところだろう。
普通に見えるけれど普通ではない。ノーマルの中に潜むコンテンポラリーな部分こそがCIOTA(シオタ)の真骨頂であり、名前が独り歩きしてしまうのを良しとしなかったのだろう。
繰り返しになるが、ブランドのリリースするコットン素材のアイテム全てにスビンコットンを使用しているCIOTA(シオタ)。この飽くなきまでのスビンコットンへの拘りこそが、あれよあれよという間に並みいるドメスティックブランドの中でも注目を集める存在へ昇華させたことは間違いない。
CIOTA(シオタ)を身に付ける際には、「CIOTA(シオタ)を着ているからイケてる」というような安直な価値観ではなく、もっと純粋にスビンコットンという生地の素晴らしさと、それを活かすデザインの融合を理解した上でなくてはいけないと、このタイロッケンコートを着ると思わずにはいられないのである。
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