2022年、転換期を迎えたバブアー
出典:バブアー公式HP
2022年は日本におけるバブアーにとって大きな転換期になった年でした。
長年に渡りパートナーシップを結んでいた八木通商との関係を解消し、日本における独占輸入販売権を伊藤忠商事が取得したからです。
マネジメント全般を請け負っていた八木通商が外れたという事はアイテム展開全般の方向性が大きく変わることを意味します。
マッキントッシュ、トラディショナルウェザーウェア、スリードッツ等を手掛けている八木通商がアパレル商社であるのに対して伊藤忠商事は総合商社。コアなファンを多く持つバブアーをグローバルなライフスタイルブランドへ変換すると宣言した経緯からも「伊藤忠バブアー」の行方は広く関心を集めた事柄だったと言えましょう。
2023年のバブアーはどう変わったか
出典:バブアー公式HP
2022年は伊藤忠が展開する日本におけるバブアーのスタートアップ年だったため、マネジメント面、周囲の反応のいずれも手探り感が否めず、全体像を述べるのが難しかったように思えますが、2023年のコレクションを見てみると、だいぶ明確に従来のそれとは違う特徴が打ち出されてきたように思えます。
私見が入っていることは前提ですが
- 他ブランドとのコラボの促進
- オイルドコットン以外の機能性素材使用の促進
- ジャケット以外のアイテムの増加
- 既存のクラシックなラインナップの残存
といったところでしょうか。
出典:バブアー公式HP
他ブランドとのコラボや先進素材の使用等の要素は八木通商時代もあるにはありましたが、より幅広い、ジャンル的に今まで適合しそうになかったブランドとのコラボをより積極的に取り入れ、現代的で使い易い素材を採用する事も併せて、従来以上に新たなユーザーを獲得するという目論見がより強く感じられる気がします。
また、ジャケット以外のアイテム(カットソーやブーツ、キャ
ップなど)も展開することで秋冬専売のイメージが強かったバブアーブランドをオールシーズン使用のブランドへ変換するというのは伊藤忠商事がアナウンスしていたところでもあります。
出典:バブアー公式HP
一方で従来のクラシック且つ剛健な、伝統あるバブアーのオイルドクロスジャケットのカテゴリーを軽視していない姿勢も十分に感じられます。
気が遠くなるほどに長い年月培ってきたバブアーの歴史。このブランドが多くの人々を魅了する要素の一端は間違いなくそのバックグラウンドであり、格式の高さに他なりません。この辺りの要素はしっかりと残していきたいという意図を感じます。
2023年のバブアー、後悔しない選び方
先述したように、伊藤忠商事に移行してからバブアーのラインナップはかなり多様化しており方向性が一本立てではなくなったことから選び方は極めて難しくなっています。
出典:バブアー公式HP
しかし、もし「最初の一着」をというならばワックスドコットンの王道モデルを選ぶべきでしょう。
ブランド全体としては趣きが変わってきたバブアーですが先述したようにクラシックな従来の名品は健在。
バブアー=オイルドクロスのジャケットというのはきっと永遠に通用する等式であり、色褪せることはないはずです。
オイルドクロスのジャケットでもショップやブランド別注でオーバーサイズにモディファイドされているものもありますがまず一着目ならクラシックフィットの物が良いでしょう。「それがバブアー」なのですから。
それと、何も頑張ってヴィンテージの古いモデルを探すこともないと思います。現行の物を買って、一から育てていく。その表情の変化を味わって体験して・・・ヴィンテージはそれからでも良いのではないでしょうか。
出典:バブアー公式HP
その後は人それぞれの道を。
別注のモダンなシルエットの物を選ぶも良し、機能素材に変更された扱い易いものを選ぶも良し。ヴィンテージの沼に浸かるも良しです。
そしてジャケット以外のアイテムはそのまた後でも遅くはありません。
ビデイル3年目の状況
さて、私の所有するビデイルも3年目を迎えました。
昨年は逡巡した挙句オイルの補充は見送り油抜きしていくことを決め、夏場は風通しを意識した場所(窓を良く開ける納戸)でコットン製の衣装カバーに入れて保管しました。
ご覧のように、昨年よりもより自然にオイルが抜け、また一段と味わい深い表情になった気がします。
もうほぼほぼ触ってもオイルのべたつきは感じられず(最近の物は最初からそんなにべたつきませんが)さらっとした感触になっています。
期せず、八木通商最終シーズンのモデルになったこのビデイル。今となっては誇らしくもある3ワラントが聳えます(縦並びの3ワラントはこの年のモデルが最終となりました)。
アウター:バブアー・ビデイル
カットソー:ハリウッドランチマーケット・ストレッチフライスシャツ
パンツ:ハバーサック
シューズ:RED WING(レッドウィング)#101ポストマンオックスフォード
昨年は別売りフードを購入して、装着して着る機会が多かったのですが今年はシンプルに合わせたい気分。伝統深いクラシックな雰囲気はやっぱり唯一無二だと感じたりします。敢えてラフに着るのが好きなのでカットソーとワイドパンツ、サービスシューズといった気取らない合わせを愉しみたいですね。
まとめ
元々漁師の防寒着から始まり、その後英国軍のミリタリーウェアとして採用され、戦後は乗馬やハンティングといった余暇の時代に重宝され、そして未だに英国王室の御用達というのが滅茶苦茶ザっとしたバブアーの歩み。
その時代時代のニーズに沿って常に変化してきた地盤がある為、よくよく考えてみると現代のライフスタイルに合わせて更に変化していくのもこのブランドのスタイルなのかもしれないとも思えますね。
でも、「バブアー」を所有する時、そのブランドの歩みやバックグラウンドを知って着る事とそうでないことはやはり違いが出るのではないかと思います。
伊藤忠バブアーは多様化し、生活のあらゆる場面において使い易くなり、スタイル的にも幅広く適合するよう変化しました。
まずは「従来のバブアー」の素晴らしさを体感し、「禊(みそぎ)」が済んだらその他を愉しむ。個人的はそういう経緯を推奨いたします。
実は私も次はショップ別注のモダンなシルエット、生地の物を選ぼうかなと考えているところです。夏はTシャツ等も悪くないかなとも考えていますよ。
バブアーについての過去記事も是非ご覧ください。
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