つらつらと古着を探していたら
最近時間がある時に、つらつらとネットで古着を探すことがあります。
古着をネットで買うのは賛否両論でしょう。そりゃ、私も実店舗に行って古着の香りを味わいながら、実際のコンディションとサイジングを確認して購入するのがとても好きです。
あくまでもネットで見るのは知見を拡げる為。実際に購入すことは余り多くはありません。
少し論調を換えますが、そんな時に「意外な生産国の物」を見つけたら、どう思いますか?
例えば・・・アメリカのブランドなのに英国製、逆に英国のブランドなのにアメリカ製だったり。
これをご覧ください。
アメリカのアウトドアブランド(最近ではライフスタイルブランド)として名高いL.L.Bean(エルエルビーン)のニットですが、メイドインスコットランドと記してあります。
少し調べてみると、70年代から90年代くらいのもので掘ればまずまず出てくるらしいという事が分かったのですが、少なくとも今まで「どアメリカ」なブランドだと思っていたL.L.Bean(エルエルビーン)がスコットランド(やアイルランド)でニット(セーター)を作っていたという事実に少なからず衝撃を受けました。
これは体験してみたい。アメリカのど真ん中であるL.L.Bean(エルエルビーン)のニットに恐らくウールの本場である英国の物が使われているだろうから、どんなものなのかと興味が尽きませんでした。
L.L.Bean(エルエルビーン)とは
と、その前に説明不要かとは思いますがちょっとだけL.L.Bean(エルエルビーン)について触れておきましょう。
出典:エルエルビーン公式HP
L.L.Bean(エルエルビーン)は1912年にレオンウッド・ビーンによって設立された会社。レオンウッド氏は会社設立後、まず防水ブーツをハンターに売ることを思いつき実行します。これがかの有名な「ビーンブーツ」で、同ブランドのアイコン的存在にして今もなお世界中で愛されている名品中の名品になっていますね。
1920年代には改良を重ねた「ビーンブーツ」を買い求めるハンターたちで盛況を極めたL.L.Bean(エルエルビーン)社。徐々に知名度を広め、その後もビーントートやアノラック等数々のアイコニックな名品を繰り出し続け、今では年間売上高16億ドルを超えるグローバルな企業に成長しています。
因みに未だに非公開の家族経営の会社であり、詳細な運用情報は公開されていません(生産はアジアのものが多くなっていることから、工場の運用等はグローバル化していると言えます)。
L.L.Bean(エルエルビーン)スコットランド製ラムウールニットレビュー
概要
というわけでこちらがネット通販で購入したスコットランド製のL.L.Bean(エルエルビーン)ラムウールニットです。カラーはベージュ、Vネックになっています。
状態はデッドストック品となっており、間違いなく未使用と思えるほど綺麗で使用感は皆無でした。
製造年はあまり明確ではないのですが80s~90sと思われるとのこと。これもあまり確かな情報はないのですが、その時期にL.L.Bean(エルエルビーン)はスコットランドやアイルランドでニット類を製造していたようです。
勿論アジア製が多くなっている現行では全く以て手に入らないものであり、希少性はまずまずありそうですね。
レトロな印象のタグにも惹かれます。洗練されている現行のものも良いですが、如何にもヴィンテージといった雰囲気は堪りません。
ラムウール100%
生地に関してはスコットランド産のラムウール100%となっています。ラムウールは羊毛のなかでも生後5~7か月の仔羊の羊毛のことで通常のウールよりもよりきめ細かく光沢がありしなやかであると言われています。あと、ややチクチク感がある点も特徴ですね。ウールマークがあるのも時代を感じさせてくれます。いいなあ、何か。
ハイゲージで編まれた生地感はいい意味で硬さがあり、かなりしっかりとした厚みがあります。
高級ニットメーカーのそれとは趣きが異なるかもしれませんが、温かみがあっていい意味での粗野感も感じられる。まさにアメリカのアウトドアブランドが作った英国製のニットと言った感じ。
ベージュの色味と生地感が非常に良くマッチしているように感じました。
ディテール
各所かなり剛健な作りになっていて、ガンガン着ても伸びたりへたれたりしないことはこの段階で容易く想像できます。ネックも細くてスマートな印象だけれどもかなり頑強そう。こういうのってありそうでなかなかないんですよね。
裾と袖にもちゃんとリブがあるのですが、この強度が絶妙。締め付け過ぎず拡がりすぎていない。よくもまあこの良い塩梅が作れるなと感心してしまいます。名品の予感・・・。
セットインスリーブですが(サイズ選び次第にはなりますが)程よく落ちそうなショルダー加減。もしかして最近作ったんじゃないの?と疑いたくなるようなモダンな作りです。
サイズ感、コーディネート
セーター:L.L.Bean(エルエルビーン)
カットソー:コンフォートカラーズ
パンツ:ドッカーズ
シューズ:パラブーツ・アヴィニョン
173㎝61㎏でLサイズを着用しています。海外企画なのでLサイズとは言えどゆったり目のサイジング。特に着丈と袖丈はかなり長めです。
最近個人的に結構主張している「袖丈長め+リブ付きで出来るリブ付近の溜りが格好良い件」もしっかり適用。長めの袖丈もリブがあれば若干撓(たわ)ませてこなれた感じを演出出来ます。なかなか良い感じ。
着心地ですが、若干のチクチク感はあるものの兎に角温かみがあって丈夫な感じがして素晴らしいです。保温性も抜群でまさに仔羊のウールに包まれている感じ。
最近のウールにはないタフさとナチュラルな感じが同居している、なかなかの良品だと思いました。スコットランドで作られてはいるものの、やはりL.L.Bean(エルエルビーン)らしい、アメリカらしい一着になっています。
コートを羽織ってもご覧の通り。バッチリですね。
因みにインナーに使っているのは先日ご紹介したコンフォートカラーズのロンT。本当に万能で非常におすすめです。
まとめ
実は今回このスコットランド製L.L.Bean(エルエルビーン)のラムウールセーター、80sから90sくらいのデッドストックにも拘らず6,000円位で手に入れました。
安価なのですがかなり質は良く、スコットランド製のL.L.Bean(エルエルビーン)という珍しい代物でもある。最近の買い物の中でも特段コストパフォーマンスの良い類に入ったと思います。こういうものが見つかるのも古着の面白さではありますよね。
L.L.Bean(エルエルビーン)はスコットランドだけではなくアイルランド製のセーターも結構古着市場で掘れば出てくるようです(アイルランド製の物はアランセーター等がありこちらもそそられる)。ネット上にもそんなに数は多くはないにしろ結構ちゃんと見つかったりするので是非探してみて下さい。コンディションやサイズ次第ですが、合致するものが見つかれば掘り出し物になる可能性は高いと思います。
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