夏の必需品
「こんなん、なんぼあってもいいですからね」
2019年にM-1グランプリを獲ったミルクボーイのネタの導入部分である。
Tシャツというものは特に消耗品の部類に入るものだ。
2年前にご紹介したT1011も昨年の夏にその役目をひっそりと終え、代替わりを迎えることになった。
「なんぼあってもいい」。Tシャツにとってはなんという誉れ高い形容詞であろうか。T1011はまさしくなんぼあっても困らない、「Tシャツ(消耗品)の王様」である。消耗品だから使い終わったらまた新しいものを買う。そうやって買い繋いできて一体何年になるだろう。気の遠くなるほどの年月だ。しかもそれぞれがへたれて使用不可能という判断を下されるまでの年月もまた長いときている。
私の夏場のコーデはT1011なしではちょっと考えられない。
今年新調したT1011はポケットなしのネイビー。いつものことながら買って袖を通すと、T1011というTシャツの圧倒的な出来の良さに感服してしまう。もう殆ど儀礼のようなものだ。
チャンピオンのT1011とは
T1011は誰もが良く知るアメリカのスポーツカジュアルブランド・チャンピオンのTシャツ。チャンピオンと言えば勿論「キング・オブ・スウェット」と言われるようにスウェットシャツが有名だが、その一方夏場に着るTシャツに関してはT1011が看板商品であり続けている。
発祥は1930年代と言われ、アメリカンカレッジの体操服として採用されていたTシャツ(77QS)がルーツと言われている。その後幾度かの改良を経て、スポーツアイテムに留まらずストリートでも人気を博すようになり、「アメリカ製のヘビーウェイトTシャツと言えばチャンピオンのT1011(ティー・テンイレブン)」との評判を欲しいままにしている。
T1011と言ってもいくつかのタイプが存在している。基本的にボディ自体の事をT1011と指すので、そのボディにカレッジプリントが施されていることもあるし、胸ポケットがあるなしの違いもある。
私はずっと無地のポケット付きを選んできたが、今回初めてポケットなしを選択した。理由は・・・特にない。ほんの気まぐれだ。
でもこれはこれで新鮮で良いなと思っている。よりベーシックでシンプル。基本のキという感じだ。
代り映えしないディテール。しかしこれこそが至高
もう何代目のT1011なのか分からないくらいに経験してきているので、ディテールは私からしたら本当に変わり映えしない。要するに昔からマイナーチェンジすら行われていないわけだ。
逆に言えば、もう既に答えに辿り着いているというか・・・完成されたものなのだろうという気もする。
安定のバインダーネックは中庸的な太さで本当に心地良い。極めて丈夫で、ガンガン着て普通に洗濯機にかけても5~6年は平気でへたらない。ネックの開きも程よく、詰まっても開きすぎてもいないのだが、これまで古今東西様々なTシャツを着てきた中で、この塩梅がベストだという気がしている。
ベーシックなボックスシルエットと丸胴仕様。アメリカっぽさをさりげなくアピールしている部分だが、着込んでいった時の馴染み具合が極めて心地良い。
7.1オンスのヘビーウェイトコットン生地は洗いを掛けるごとに目が詰まっていき、自分の体に馴染んでくる。勿論褪色具合も抜群で、見る人が見ればT1011だとわかるほどなのではないだろうか。私は街ゆくアメカジ野郎が着ているTシャツを見て「T1011の生地では?」と思い近くで見てみるとやっぱりそうだったということが何度かあった。似たように見せて作っても、あくまでも擬態したものでしかなく、T1011の雰囲気は本乙の意味で真似できるものではないのかもしれない。
MADE IN USAを貫く
企業としてのチャンピオンは時代の渦の中に晒され、端から見ても心配してしまうほどに揺れているようだが、まだまだT1011はアメリカ製のものが作られ続けていてほっと胸を撫で下ろしているところだ。
昔からあるアメリカのカジュアルウェアブランドの多くがアジアの工場での生産に切り替えざるを得ない時代の中で、年々アメリカ製のものは日本では手に入りづらくなってきている。ちょっと前までアメリカ製が中心だったブランドのアイテムの多くがアジア製になっていたり、誰もが良く知るアメカジの定番品目もアジア製になっていたり・・・。アジア製が悪いと一緒くたに決めつけているわけではないが、どうしても我々くらいの世代だと特に「MADE IN USA」は特別な勲章のようなものなのである。それだけで気分が良いし、特別な感情を抱く。アメリカという存在は永遠の憧れのようなものなのかもしれない(ある意味古臭い表現になっている気もするが)。
・・・兎にも角にも、T1011のアメリカ生産が今後とも途切れないよう切に願うばかりである。
着用イメージ(コーディネート、サイズ感)
サングラス:MOSCOT(モスコット)レムトッシュ ジャパンリミテッド
Tシャツ:チャンピオン T1011
ベルト:エンダースキーマ スネークベルト
パンツ:ドイツ軍
シューズ:コンバースタイムライン ワンスター
時計:ハミルトン PSR
173㎝61㎏の私がLサイズを着用。私はT1011はいつもLサイズを選ぶ。これはトレンドがどう変わろうとずっと不変。
ベーシックでナチュラルなアメリカンカットソーなので、あまり細かいことは気にせずざっくりと着用するのが〇なのだ。昔からこの考えは変わることはない。
まだ購入したばかりなのでやや硬さがあるのだが、これが着用と洗濯を繰り返していくと良い感じのへたりが出てきて体に馴染み、落ち感が出てくる。その位まで育った時のT1011が着心地、見た目の双方で最高に良い。今回も急ピッチで育てたいと思っている。
まとめ
先述したが、チャンピオンと言えばスウェットのイメージがすこぶる強いので、もしかしたら名作Tシャツ「T1011」の存在をご存じない方がおられるかもしれない。
巷には把握しきれないほどの無地Tが存在していて、アメリカンコットンを使用したヘビーウェイトTシャツも、最早どこのショップに行っても必ずと言っていいほど陳列されているような世の中だ。
実際私もT1011以外のヘビーウェイトTシャツを何枚も持っている。
でも、これは至高なのだ。着てみればわかる。一度着ると、所有していないと気が済まないほどにハマってしまうことは間違いない。老若男女問わずにだ。
T1011はそれほどに完成されたTシャツであり、唯一無二の「Tシャツの王様」なのである。これは大袈裟な物言いでもなんでもない。ただただ真っ当な現実を述べているにすぎない。もしもまだ未経験の方がおられるならば騙されたと思って試してみて欲しい。
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