リーバイスが苦手な話
私は古着もヴィンテージも好きだ。古着屋にもよく行くしヴィンテージも漁る。
だが、リーバイスが苦手だ。
リーバイスに造詣がないのに、ヴィンテージを語れるのか?
そんな声が聞こえてきそうだ。
だが、私がリーバイスを苦手だと思う理由はそういうところだ。
基本的に、ジーンズが余り好きではないし、自分のスタイリングに合っていると思っていない。だから昔から余りリーバイスについて勉強してこなかった。そして(語弊を恐れずに言えば)リーバイスの名前と価値ばかりが独り歩きして、本質が置き去りにされいるようにも思えなくもない。要するに、個人的な話というレベルでしっくり来ないのだというところが最も近い表現なのかもしれない。
しかし、リーバイスの世界は深く、ストーリーもバックグラウンドも偉大だ。「金字塔」という表現がこんなにしっくりくるブランドはそうそうない。
ヴィンテージ=リーバイスだという事は分かっている。アメリカ古着=リーバイスだという事も分かっている。避けては通れない道だということも。
これは、例えばポテトチップスが大好きだけれどもカルビーは食べたことがないと言っているほどのものなのだ。
しかし敢えて私はリーバイスを通らない人生を選んでいる。カルビー以外のポテトチップスのみを嗜むという稀有な道を。
だのにリーバイスのシャツを購入した話
だのに何故、今回リーバイスのシャツを購入したのか。という話だが・・・
それはズバリ、単純に気に入ったからである。
このリーバイスのデニムウエスタンシャツは、全く以てヴィンテージではない。古着屋で見付けたものだが、決して高い価値が付加された個体ではない。メイドインスリランカの、現行に近い物であろうと思われる。
タグも~タグだとか旧リーバイスのアメリカ工場の生地を使っているだとか、有名モデルの復刻だとかでもない。勿論デザイナーのディレクションなんかのものでもない。元々の定価は恐らく10,000円もしないだろう。
でも、見て、羽織ってみて、とても気に入ったのである。
リーバイスに詳しい方やヴィンテージフリークの方等は、このシャツを見てダサいと思うのかもしれない。イケてないと思うのかもしれない。
しかし、例えば価値の高いヴィンテージのものでもサイズ感があっていなければそれはイケてない。正直言ってダサい。希少なディテールのものでもデザイン性が低ければ私は着たくない。珍しくもない、安価なものでも、間違いなくこちらを選ぶ。
別にそういった思想のようなものを否定しているわけではない。でも、逆に否定される所以もないのである。安くても高くても、希少でもそうでなくても、良いモノは良いし悪いものは悪いのではないだろうか。
購入したデニムウェスタンシャツをレビュー
概要
偶にぶらっと立ち寄る古着屋。このシャツはそのお店の入り口付近のトルソーに着せてあったものだ。
普段あまりトルソーに着せてあるものはチェックしない質なのだが、久し振りに一発で惹かれてしまった。価格は3,990円だった。
リーバイスのものだと、最初は気付かなかった。「良い雰囲気のシャツだ」と思い、近づいてみてみると結果、リーバイスだったのである。先入観なしに評価できた。ここが個人的には肝心なところだ。
余りリーバイスのタグに造詣はないが、スリランカ製という点、タグの雰囲気、そして価格から見て全く古い物ではないという事は明らかである。90年代という事もないだろう。恐らく2000年代以降のモデルだと思われる。
刺しゅう
このシャツの肝は、あちらこちらに施されている刺しゅうだ。(ハンドなのかは分からないが)ハンドメイド感のある刺しゅうが散りばめられている。
ファニーだけれども雰囲気のあるテーマ感。リーバイス自体は少々乱暴に言えば気の効いたデザイン性等とは無縁のブランドだと思っているが、なかなかこの刺しゅうのデザインは面白くて格好良い。
もしかしたら一着一着に個体差が随分あるのではないだろうかと思えるほどランダム性が感じられるデザインである。
裏から見るとこんな風になっている。悪くない質感だ。
ディテール、生地感
ディテールはベーシックなウェスタンシャツ。だが胸ポケットはやや下目に付いていて現代風にモディファイドされている印象である。チェスト部分のステッチもない。
ボタンは一番上だけプラボタンでそれ以下はスナップになっている。
なにせ古着なので、最初から加工が為されていたものなのか、単純に経年変化が進んでいるのかは判別するのが困難だが、どちらにしてもなかなか良い雰囲気に仕上がっている。中厚くらいのオンスのデニム生地だが、柔らかくて肌触りが良い。風合いも良く、程よく落ち感が出るだろうという事は試着する前から容易く想像できたほどだ。
各所のアタリは、ヴィンテージマニアでなくとも秀逸だという事は分かったりする。近年製のアジア生産のものではあるが、やはりリーバイスはリーバイスなのだなとさえ思ってしまった。昔の希少なものではなくとも、この会社にはこれまで他社とは比較にならないほど蓄積された経験値がある。それは例え量販店で安価に売られているものであっても、それなりに反映されているのかもしれない。
それが今回肌身で感じられただけでも購入した甲斐はあったというものである。
着用イメージ(コーディネート、サイズ感)
キャップ:ミスターオリーブ
メガネ:金子眼鏡
シャツ:リーバイス
パンツ:スティルバイハンド
シューズ:ニューバランスM990V6
173㎝60㎏でXLサイズを着用。恐らく現行のリーバイスのシャツと同じようなサイズ感だと思って良いだろう。このシャツはタグに「オーバーサイズ」と表記があることからも、かなりリラックスフィットな作りになっているようだが、更にXLサイズ(普段のマイサイズは凡そM~Lサイズ)という事もありかなりリラックスしたサイズ感での着こなしが出来た。
ブリーチデニムの雰囲気は春に一枚着したり、羽織に使うのに最適そうである。シーズン感もあるし、恐らくかなり使うことだろう。
小さめのレギュラーカラーは第一ボタンだけ外して着ると若干ダサくなってしまいがちな場合があるので、個人的には一番上まで閉めて着たい。そうすることで野暮ったさが軽減されると思う。
先述した各所に散りばめられた刺しゅうは、遠目では分かり難いが近くで見ると判明するくらいの主張具合。これが非常に塩梅が良く、全体の印象に干渉し過ぎることはないがアクセントの役割になっていて非常にいいバランス感だと思っている。
まとめ
というわけで今回はリーバイスが苦手な私がヴィンテージではないリーバイスのデニムウエスタンシャツを購入した話をしてきた。
ヴィンテージはおろか、リーバイスのデニム一本も所有していない私がこのシャツを着ていることを、ヴィンテージフリークは滑稽に思うだろうか?
しかし私はこの春、この3,990円で古着屋で購入したシャツを結構気付けば着るくらいの頻度で起用するだろう。勿論、アンチテーゼなどという意味合いではなく、「お洒落」だと思って着る。着こなす。
このシャツを気に入って買った時、私は「リーバイスかどうか」、また、「希少価値があるかどうか」と言ったことは度外視で気になり、試着してみたらしっくり来て、そして買いたいと思って買った。誤解のないように言っておくが、私は高くて良いものも好きだしそれなりには所有している(ある程度の範疇を超えるものはその外だが)。その上でのことなのだ。それにバックグラウンドも重視するしストーリー性も軽視しない。感覚のみで服は着ない。ある程度以上論理的だ。
しかし、このシャツはそれを踏まえた上でも素晴らしいと思う。
もう一度考えよう。(数が)少ない=お洒落なのか?古い=お洒落なのだろうか?古いディテールや生地には魅力があることは知っている。大量生産社会に変遷する以前と以後では言い尽くせぬほど様々な変容があるからだ。だから私も古い物をよく見るし買う。しかし、必ずしもその方程式は成り立つとは限らないのではないだろうかと思っている。
にほんブログ村のランキングに参加しています。もしよろしければバナークリックをお願いいたします。
是非ブックマークやコメントで皆さんのご感想などお聞かせください!