チャンピオンじゃないリバースウィーブの古着スウェット
今回ご紹介したいアイテムは、「チャンピオンじゃないリバースウィーブの古着スウェット」。
リバースウィーブと言えばチャンピオン製のものが(近年特に拍車をかけて)価格高騰しており、「リバース、リバース」ともてはやされているが、「何故それが格好良くて、価値があるのか」という本質を芯から理解した上で身に付けている人の割合は果たしてどの位のものなのだろうか。
勿論、キング・オブ・スウェットと呼ばれて憚らないほど、歴史的なアイテムであるチャンピオンのリバースウィーブをこき下ろす気などさらさらない。チャンピオンは掛け値なしに素晴らしい。
しかし、「チャンピオンだから格好良い」「チャンピオン以外はダサい」という論調は果たして的を得ているのだろうか。否。私はそうは思っていない。
今回は古着屋で購入したコットンエクスチェンジのリバースウィーブのスウェットをご紹介していきたい。
コットンエクスチェンジとは
コットンエクスチェンジは主に90年代くらいのグッドレギュラーを取り扱う古着屋ではよく目にするブランドである。件(くだん)のチャンピオンと並行してアメリカ政府機関や有名大学へ継続的にアイテムを納入しており、同じくよく古着屋で見かけるボディメーカー・SOFFE(ソフィー)の別ラインである。
90年代らしい身幅がたっぷりとしたボックスシルエットの個体が多く生地もしっかりとしている、アメリカらしさが存分に感じられるブランドだと認識している。
タグを見てみると分かるように勿論アメリカ製のものが殆ど(少なくとも私はアメリカ製の個体しか見たことがない)で、無駄に価格が高騰していないところにも好感が持てる。大体、母体のソフィー自体が極めて優秀なボディメーカーであり(ソフィーは米軍へのユニフォーム支給実績が極めて豊富なことで有名である)、背景を鑑みても十分な信頼に値するブランドであると言って良いだろう。
リバースウィーブ
リバースウィーブとはスウェットが縦方向に縮むのを軽減するために、本来縦方向に使用される生地を横方向に使用する製法である。
更に、両脇にはリブを配し、横縮みにも対応するディテールも併せてそう呼称されることが多い。
リバースウィーブはチャンピオンが30年代に特許を取得しているが、このリバース編みに関しては他のブランド(メーカー)が採り入れていないかと言えばそうでもなく、実際にこのコットンエクスチェンジのスウェットもリバース編みで製作されている。「パクリ」だとかそういうことではなく、(恐らく)試行錯誤を重ねた結果到達する答えが結果論的にこの製法ということであり、特にこれまで訴訟問題等に発展した等という話は調べてみても出てはこない。なので、余計な詮索は不要なのである。
兎に角、このコットンエクスチェンジのリバーススウェットは縮みに対する耐性を備えていて、耐久性、生地感、風合いに優れたアメリカ製のグッドレギュラーなのである。それだけで十分。
面白さ満載のディテール
このスウェット、各所のディテールを見ていくと実に面白い部分が多い。
ズレた胸プリント
まずはこの胸部分のプリント。よく見ると、明らかに左側にズレている。
最初にこれを古着屋で見た時に、意図的なのか、そうでないのか分からなかった。暫く眺めてみて考えたのだが・・・これは個人的見解なのだが意図的というわけではなく、結果的にずれてしまったというのが当たらずも遠からずといったところなのではないだろうか。如何にもアメリカらしい現象である。逆に面白く感じて、惹かれる要因になってしまった。
これが例えば日本のブランドが作ったスウェットならば、まずこんなことはあり得ないのではないだろうか。こういうところもまたアメリカ古着の醍醐味なのである(要するにいい意味でアバウトなのだ)。
オマージュっぽい袖ワッペン
左袖にはワッペンが付いている。
チャンピオンならばアイコンの「Cロゴ」が付いている部分だ。明らかにオマージュ的なデザインだと言える。
このクモのデザインについては胸ロゴの「RICHMOND LOW(リッチモンド大学法学部?)」から推察するしかなく、ヴァージニア州のリッチモンドに関係すると考えると、リッチモンドにはスパイダーズというアメフトチームがあり・・・と、そのくらいしかソースを見つけることはできなかった。
そもそも洒落が効いているアイテムなので、様々なこじつけでワッペンのデザインを作ったのかもしれないし、よくわからないというのが正直なところだ。
よくわからないというまま済ませるのが嫌いな性格なのだが、何故かこれはこれで許せたりしている。単純にデザインは格好良いというのもその要因の一つなのかもしれない。
裂けた袖口
袖口が裂けている。
これについても少し考えたが、かなり狭めな作りになっている為着用しているうちに自然に裂けたのか、或いはサイズ的に窮屈だった為意図的に先の方をハサミか何かで切ったのか・・・。見れば見るほど、どちらとも言えそうな感じである。
どちらにせよ、何とも良い塩梅になっていて着心地が良くなっているから不思議で、如何にも古着っぽいし気に入っている。ただしここに関しては気になる方は気になるだろうし受け付けないという方も多いだろうとは思う。私は勿論その外だ。
ポリ混生地と裏毛
生地は95%コットンに5%のポリエステル混紡。コットン感が損なわれない上にポリ混の恩恵で実に耐久性に優れている、黄金比と言われている混紡率の一つである。
洗濯機にガンガンかけてもへたれることもないし皺もつかない。気を遣わずに運用することが可能である。非常に軽く、着用時にストレスを感じないところもさすがだ。
裏地は裏毛になっている。裏起毛よりも着ることが出来る季節が長い裏毛はとても運用がしやすい。
しかも、90年代の個体なので良い具合に裏毛が寝ていて、極めて着心地が良い。この辺りは流石は合理性を重視するアメリカの古着だと思った。
コーディネート、サイズ感
サングラス:MOSCOT(モスコット)レムトッシュ ジャパンリミテッド15
スウェット:コットンエクスチェンジ
シューズ:ヴァンズ・オールドスクール
ご覧のようにかなりこなれたシルエットになっている。
チャンピオンのヴィンテージも所有したことはあるが(あるんかい)、恐らくこちらの方が現代的なトレンドに沿った着こなしが出来るのではないだろうかと個人的には思っている。チャンピオンは着こなしがしにくいシルエットの個体が多い。
サイズはL表記だが日本サイズに直すとXLか2XLくらいに該当すると思う。アメリカ古着を探すときはこのようにワンサイズかツーサイズ位大きいと思ったほうが良い。ただし日本では考えられないくらい個体差が大きいから注意が必要だ。
ご覧のように胸のプリントはかなりズレている。実に良い感じだ(笑)。
まとめ
いかがだっただろうか。
今回ご紹介したコットンエクスチェンジの90SメイドインUSAのスウェットシャツは7,000円程度で手に入れたものだ(因みに、偶にやっているWE GO(ウィゴー)の古着市で購入した)。チャンピオンのものと比較したら随分コスパが良いと言って良いのではないだろうか。
決して品質は悪くないし(むしろ、殆ど文句がないほど良い)、逆に古着の面白さが詰まった、なかなか見どころの多いアイテムだと言える。実際にかなり気に入っていて最近は頻繁に登板機会も得ている。
・・・それでもチャンピオンのリバースじゃないからダサいという方はいるかもしれない。それはそれで一つの価値観だから否定はしないが、根っこにある本質から逸脱した論理を以てそれを主張するのであれば、個人的には納得出来かねる。
決して感覚で物を言っているわけではなく、背景まで踏まえた上で私はこれを気に入っているし、多くの人にすすめたいと思う。
自分が身に付けるものに関しては、表面的なことに囚われることなく自分なりの物差しをもって選びたいものだ。
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