オールドコーチを入手する
「質の良いレザーのショルダーバッグが欲しい」と最近思っていて、でもなかなかこれと言った決め手を欠いていました。
そりゃ、予算に糸目をつけなければいくらでも良いモノがありますが、それは少し違う。とはいえ、バッグはシューズや時計と並び、コーディネートの中でも極めて質の良し悪しが目立ってしまうアイテム。妥協もしたくありません。
「ああ、そうだ、オールドコーチがあるじゃない!」
そう気付きました。オールドコーチは以前から興味があり、多くのファッショニスタ達も愛用しているし、良いかもしれない。
そう思い立ち古着屋へ。オールドコーチは古着屋やヴィンテージショップに置いてあるレザーバッグの定番中の定番です。これがまた、偶々タイミング良くいいタマに巡り合いゲットしてきました。
今回はオールドコーチとは何ぞや?という点から、実品のレビューまで述べていきたいと思います。
オールドコーチとは
成り立ち、背景
「オールド~」という頭文字は、現行で運営されているブランドが一昔以上前にリリースされていたヴィンテージのものを指すときに良く使用されます(オールドステューシー、オールドヴァンズ、そして最近はオールドユニクロなんかも)。そして多くは現行のアイテムとは趣向が異なっていた場合、それと差別化する意味合いが含まれている事が多いと言えるでしょう。
オールドコーチもまさしくその通りで、現行のコーチとは随分趣きが異なっています。現行では考えられない贅沢なレザー使い、奇をてらわないベーシックで普遍的なデザイン、控えめな主張・・・。華やかでアイコニックな現行のコーチとは全くの別物だと言い切って差し支えはないでしょう。だからファッショニスタ達・・・特に古着好きやヴィンテージフリークからの厚い支持を得ているのです。
出典:COACH公式HP
そもそもCOACH(コーチ)は1941年にニューヨークで創設されたレザークラフトブランド。ブランド名はハンガリーのコチという町から採られています。コチという町は世界で初めて4輪馬車が製造された町とされており、ブランドロゴにも4輪馬車が躍ります。貴族の主な移動手段だった4輪馬車をアイコンとすることで「大事な人や物を目的地へ運ぶ」という意味合いが込められています。コーチのバッグなどのアイテムを大事なものを運ぶ用途に使用して欲しいという事なのでしょうか。
元々COACH(コーチ)は富裕層をターゲットとしたブランドでしたが、90年頃にターゲットを若年層に切り替え価格帯もそれに倣って引き下げに掛かりました。「オールドコーチ」は単純に昔のCOACH(コーチ)を指す場合もありますが、大体はこの90年代付近に比較的廉価に販売された頃のCOACH(コーチ)のことを言います。廉価とは言っても、しつこいようですが現行のCOACH(コーチ)のみならず他のレザーバッグブランドが使用しているレザーとは一味違う極厚でハイクオリティの物を使用しており、丈夫で雰囲気があり、極めて長持ちする特徴を持っています。
オールドコーチの魅力
出典:ヤフオク
「クラブタンレザー」と呼ばれるオールドコーチのフルグレインレザーは多くのファンを持つ名作。野球のグローブから着想されたクラブタンレザーは兎に角極厚なのですが、しなやかでもちもちとした柔らかみがあり、使い込んでいくほどに鈍い光沢が出てきます。型崩れもし難く極めて丈夫。先述したようにオールドコーチは90年代以前のものを指しますが、20年以上経った今でも現役で使用できる状態で古着屋やヴィンテージショップに並び、現在から考えてもまだまだ10年選手として捉えることが出来るほど。
勿論既に誰かが使い込んだ後のものなのですが、言い換えれば予め絶妙なエイジングが為されたものを入手できるという事。そこからさらに自分の手で育てていくことも出来ます。
ユニセックスなデザインのものも多いので、男性も十分に適応可能。勿論女性のファンも多数存在しています。
価格もこなれていて、大体10,000円~20,000円位で考えておけばOK。兎に角コスパも抜群なのです。古着や中古に抵抗のない方ならば、勧めない理由が見当たりません。
オールドコーチのショルダーバッグレビュー
というわけで購入したオールドコーチのショルダーバッグをレビューしていきます。
概要(オールドコーチの年代などの見分け方)
COACH(コーチ)の刻印は内側にひっそりとあります。
オールドコーチの製造年については、この刻印で
MADE IN NEW YORK CITY.USAとなっていれば60年代~70年代
MADE IN USAかMADE IN UNITED STATESとなっていれば80年代
HAND CRAFT IN THE UNITED STATESが英文の中に込まれていれば90年代
だそうで、つまりこれは「MADE IN UNITED STATES」の文字が確認できるので80年代のものという事になります。
因みにNo.139-9920の製造番号が打たれていますが、9920の前に「S」が入っていたらアウトレット用に製造されたものになるのだそうで、作りはかなり粗悪になるそうです(90年代にCOACH(コーチ)はアウトレット店舗をオープンさせ、アウトレット専売品を多く作っていました)。
オールドコーチを買う時はちょっと見にくいですが内側の刻印をチェックしましょう。
レザー
カラーはかなりブラックに近い深いネイビー。ブラックも良いですが、ネイビーは単純な「褪せ」がブラックよりも目立たないので意外と狙い目だったりします。
件(くだん)のクラブタンレザーはやはりかなり良い具合。それなりの経年変化と使い込みが見て取れますが、本当に良いアジ。鈍い光沢ともちもちとした感触、そして極めて厚みのあるレザーで、言い過ぎではなく圧巻の一言です。2020年代に20,000円前後で買えるレザーバッグでと考えると、まずお目にかかることはできない代物でしょう。
ストラップも丈夫でしっかりとしています。柔らかくしなやかなレザーの感触が気持ち良い。
エイジング
若干傷が見られますがこれもアジ。全体的にエイジングは進行しており、独特の鈍い光沢を放っています。
マグネット部分は色移りが。古着に理解のない方には抵抗のある部分かも知れませんね。
表に比べて中身は褪色が進んでいません。元々はこういう色味だったのでしょうね。
因みに劣化しやすいと思われる取り出し部分はシボ革が充てられており二重になっています。こういうところをみると、ちゃんと作られているなあと感心したりします。当たり前なのですが。
デザイン
デザインはかなりミニマル。ユニセックスっぽいものを選びましたが、オールドコーチは結構デザインのバリエーションはあります。しかし大体どれもシンプルでミニマルな作りでクセがないので、汎用性も高いのではないかと思います。
バックルの作りも重厚感を感じさせてくれるもので、ゴールドのカラーリングも良いですね。
底のマチも結構あるので見た目以上に容量は大きいです(ちゃんと自立もします)。因みにオールドコーチは底が大きいバケツ型も多数存在していてそちらも定番です。
このレザータグは取って使用します。そのまま使うとちょっとイタいので(笑)。
コーディネート
トップス:Scye
パンツ:PORTER CLASSIC
シューズ:BIRKEN STOCK Kyoto
腕時計:HAMILTON PSR
ブレスレット:FIRST AMERICAN TRADERS
レザーバッグはラフな合わせを締めてくれる役割にピッタリですが、使い込んだ感のある重厚なレザー感が結構ハマります。勿論ガチの古着やキレイ目なコーデにもハマりそうで、汎用性はかなり高いとみてよいのではないでしょうか。
デザインもミニマルでガチャガチャしていないので何にでも合わせやすそうです。
光の当たり具合で表情が変わるのはヴィンテージならでは。そして革質の高さが故です。
まとめ
つい先日、COACH(コーチ)を傘下に持つアメリカのタペストリーが丁度マイケル・コースやヴェルサーチェ、ジミー・チュウを擁するカプリ・ホールディングスを買収して、世界有数規模のアパレルグループになったというニュースを見ました。あのLVMHに匹敵するほどだとか。
COACH(コーチ)は現代に於いても世界的な存在感を示し続けているブランドですが、その出自はニューヨークの小さな工房から始まった素朴なレザークラフトブランドです。現行のCOACH(コーチ)は変容し続ける顧客ニーズに対応しながらグローバル化し、随分アイコニックになりましたが、90年代以前のオールドコーチには現行には見られないクラフトマンシップや確かな素材使いがふんだんに残っています。実際に手に取って、使ってみるとこの見解が全く言い過ぎではないことが一発で分かることでしょう。
とても身近で、こなれた価格で購入する事が出来るので、古着・中古に抵抗のない方は手に取ってみてはいかがでしょうか。多分、その革質の素晴らしさに感動するのではないかと思います。
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