メガネ沼は深い
昨年末位から、どうにもこうにもアイウェア(メガネ、サングラス)が気になって仕様がなくなってしまい、色々リサーチした末にMOSCOT(モスコット)レムトッシュ ジャパンリミテッド15を購入しました。
そもそも若い頃にアラン・ミクリにハマっていた時期があり数本所有していたこともあったものの、アイウェアに関してはそれほど造詣がある方ではなかった私ですが、知れば知るほど「メガネの世界は沼だ」と言う思いが募る結果に。
レムトッシュが調子よく、とても気に入っているのですが、こうなると2本目が欲しくなるのがモノ好きとしての正常な思考回路。現在2本目に関してどの手を打とうかと思案中です。
今回は、そんなアイウェア(メガネ、サングラス)についての基礎知識等をさらっとご紹介していきます。知れば結構面白いので是非最後までお付き合いください。
アイウェア(メガネ・サングラス)のフレームタイプ
フレーム素材
メガネは大きく分けてセルフレームとメタルフレームの2種類に大別されます。
レムトッシュのようなセルフレームはアセテートが主流のプラスティックフレームのこと。比較的カジュアルで柔らかい印象を付与します。
一方のメタルフレームはチタン素材が主流で、特にチタンは日本の鯖江の技術が高いとされています(後に詳細を述べます)。こちらは比較的クールな印象のものが多いと言えるでしょう。ビジネスシーンに適応しやすいのもこちらだと思います。
その外もセルとメタルのコンビフレーム(リムとテンプルで素材を切り替えてあるもので一般的にリムがセル、テンプルがメタルのものになります)やリムの上辺に切り替えのあるサーモントフレームなどもありますが、大雑把に大別すると上記の2タイプになると言って良いでしょう。
自分の2本目に関しては、レムトッシュがセルフレームなので、今度はメタルフレームに挑戦したい気持ちもありますが、セルフレームでも余りリム幅が太い物でなければ使えるシーンの幅は広いと思うので迷うところです。
シェイプのタイプ
出典:JINS公式HP
シェイプのタイプも様々存在します。
レムトッシュはウェリントンとボストンの中間のシェイプでボスリントンなどと言われたりしますが、最も馴染みやすくいい意味で無難なタイプと言われたりもしますね。実際どんな方にもしっくりきやすいシェイプだと眼鏡店の方も言われていました。
(左上から)
- ウェリントン・・・逆台形になっており、上辺がほぼまっすぐで下部は平らになっています。アメリカンクラシックの潮流から来ているシェイプで流行り廃りに関係ない普遍的なタイプと言えます。
- ラウンド・・・フランスのヴィンテージによくみられるタイプ。知的な印象ですが真円だとやや初心者にはハードルが高そうです。ジョンレノン等も愛用していたシェイプですね。
- ボストン・・・おむすび型と言われ、ふっくらとした逆三角形になっています。上辺は緩やかなカーブを描き下方向へすぼんでいきます。トラッドで上品な雰囲気を付与してくれるシェイプ。
- サーモント・・・上辺が眉のように太くなった構造になっています。「初心者もかけやすい」と言っているYouTube動画を見ましたが、個人的には店舗で試着した際には初心者向けというよりはやや個性的なように感じました。サーモントオ/を初めて作ったのは後述するアメリカ三大メガネブランドの1つであるシュロンと言われています(モデル名はロンサー)。
- 所有しているアラン・ミクリはスクエアフレームで、最近のトレンドではないシェイプですがその内また波が来そうな気もします。カチッとした知的な印象ですね。
- オーバル・・・ラウンドまでは行かない楕円のシェイプ。こちらも難易度は高そうです。
この他にも最近人気のあるクラウンパント(上辺にカッティングが入っており王冠のように見えるシェイプ)や六角形のヘキサゴン型、八角形のオクタゴン型等細かく言えば様々なシェイプが存在しています。ブリッジが二本あるダブルブリッジなんかも個性的ですが格好良いですね。
レムトッシュのボスリントン型が今しっくり来ているので、何も考えずに買いに行ったらまたボスリントンを選んでしまいそうですが、ボストンやラウンドが気になっているところです。
トレンドの変遷とネクストトレンド
出典:パリミキ公式HP
最近のトレンドの流れとしては
2000年前後・・・天地(メガネの上辺から下辺のこと)の浅いスクエアフレームなど
2005年頃~・・・アメリカンクラシックの台頭、小型のラウンドシェイプ
2015年頃~・・・フランスヴィンテージの波(クラウンパント等)
そして最近のトレンドの傾向としては
- ビッグシェイプ(大き目のシェイプ)をファッション感覚でかける
- より個性を求める潮流
と言われているようです。2005年頃からの天地の広いフレームの波は長く持続しているので、ネクストは逆にナローシェイプ(天地の浅いシェイプ)になってくるかもしれませんね。服もそうですが、トレンドは繰り返すものなので。
今は余りかける気にならない10年以上前に購入したアラン・ミクリの出番も再び来るかもしれませんね。
・・・いずれにせよ、服と同じくトレンドはトレンドで把握したうえで自らのスタイルを確立することが大事。事実、天地の広いフレームやラウンドフレームも定番化し、アメリカンクラシックに関しても流行り廃りのない域まで達していると言えます。大人ならばそういったものを中心に見ていくと良いでしょう。
アイウェア(メガネ、サングラス)・アメリカの3大ブランド
出典:セレクトショップセプティス
アメリカのメガネ3大ブランドと呼ばれているのはアメリカンオプティカル(AO)、ボシュロム、シュロンです。
1833年創業のアメリカンオプティカル(AO)は世界最古の眼鏡製作会社と言われており、ジョン・F・ケネディが愛用していたことでも知られています。アメリカンオプティカル(AO)のヴィンテージは近年価格が極めて高騰しており、ゴールデンサイズで状態が良いものならば100万円以上する個体もザラ。ジーンズで言えばリーバイスのようなイメージでしょうか。
ボシュロムは皆さんも良く聞いたことのあるであろうあのコンタクト用品や何やらのあれです。
ボシュロムは元々あのレイバンブランドを所有していた眼鏡製作会社で、90年代までレイバンはボシュロム社製でした。その後レイバンブランドはイタリアのルックスオティカに売却されます。レイバンは現在では町のメガネ屋さんにもよく置いてあるポピュラーなサングラスブランドとして広く親しまれていますが、大体イタリア製かアジア生産のものが多くなっていますね。ボシュロム社製のレイバンは「ボシュロムレイバン」としてヴィンテージの市場で高値で取引されています。
最後はシュロン。1865年に創業されたメーカーで、第二次世界大戦時に軍に支給されたことで一躍名を馳せます。シュロンと言えばサーモントフレーム。50年代から60年代くらいのハリウッド映画の劇中にもよく登場したほど当時のアメリカのカルチャーを象徴するアイテムでした。マルコムXも着用し、あのケンタッキー・フライド・チキンのカーネルサンダースが掛けているのもシュロンのサーモントフレームです。
メガネの3大産地と鯖江
出典:金子眼鏡公式HP
世界には三大メガネ産地と呼ばれる地域があります。
それはイタリア・ベッルーノ、中国・深川、そして日本の鯖江。
福井県鯖江町は、「めがねの町」と呼ばれ、国産フレームの約96%余りを生産している(世界でも20%!)ことで知られています。
日本はメガネ以外でもモノ作りが確かな国として知られていますが、特に鯖江の眼鏡職人の技術は凄まじく、世界中から厚い信頼を勝ち取っています。鯖江の眼鏡は日本が世界に誇る伝統工芸といってまず間違いはないでしょう。200以上の工程を経て作られる鯖江の眼鏡は、最先端の技術と共に職人の細やか且つ妥協のない手仕事を経て作り出されているのです。
出典:D-eye上之裏HP
因みに日本初の眼鏡ブランドはMASUNAGA(マスナガ)。明治38(1905)年に増永五左衛門が現福井県福井市で創業しています。MASUNAGA(マスナガ)は現在も高級アイウェアブランドとして人気を博しており、オシャレなアイウェアショップでの取り扱いも多いようです。余談ですがメガネに拘りのある私の部下の眼鏡もMASUNAGA(マスナガ)でした。
半医半商
出典:白山眼鏡店HP
アイウェアショップ(メガネ屋)は「半医半商」と言われています。
これは半分は医療を意識し半分は商売であるという意味で、アイウェアを取り扱うショップは他の服や靴などとは違い医療的な側面(本格的に医療従事者というわけではない)を持っているという事を意味しています。
コロナ禍が始まった頃、多くのアパレルショップ等は休業・休店しましたが、アイウェアショップの多くは営業を続けました。メガネは単なるファッションアイテムというわけではなく、それなしでは生活が成り立たない方が多い分野です。一種のライフラインとも呼べるものなので、半医半商の精神に則ってそのようなスタンスを取ったというわけですね。本当に良いアイウェアショップはこのような姿勢を併せ持っている所なのかもしれません。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回はアイウェア(メガネ、サングラス)に関する基礎知識をご紹介しました。「半医半商」の分野でもあることからわかるように、アイウェアは単なるファッション小物というだけではなく視力に難がある方にとっては必需品でもあるので、個人個人で捉え方は様々なのではないかと思います。
なので、オシャレに興味があったとしてもアイウェアにはあまり造詣がないという方も沢山おられるでしょう。ファッションは好きだけれど靴はあまり好きではないという方はほぼほぼいない筈ですがアイウェアはそんな意味で若干特殊ですよね。
ファッションの世界には「ヴィンテージ沼」や「革靴沼」、「時計沼」等様々な沼がありますが、アイウェアの世界を紐解いてみると実に奥深くて面白く、はっきり言って「ここにも沼があった」といった感じです。「メガネ沼」も足を踏み入れるとなかなか抜け出せなさそうなほど深いですね(笑)。
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