今回は金子眼鏡のメガネ(KC-12R)をレビュー致します。
高級眼鏡ブランドでは珍しくSPA方式で直営店を持つ福井県鯖江発の老舗メガネブランド・金子眼鏡。
幾つかあるシリーズの中でもセルロイドフレームのKCシリーズ・KC-12Rを購入したのでそのレビューと、金子眼鏡についても述べていきますので是非最後までお付き合いください。
今回の記事の内容は
- 金子眼鏡の評判は?(金子眼鏡とは何か)
- 金子眼鏡の概要(金子眼鏡の各ブランドの特徴)
- 金子眼鏡を選んだ理由
- 金子眼鏡のセルロイドシリーズ「KC-12R」の購入レビュー
となっております。
金子眼鏡とは
出典:公式サイト | 金子眼鏡 (kaneko-optical.co.jp)
金子眼鏡は1958年にメガネの町・福井県鯖江にて眼鏡卸販売を開始した老舗中の老舗。
1998年からはミラノの「シド」やパリの「シルモ」といった国際的な眼鏡展にも参加し、国際進出も推し進め、2000年にはニューヨークのソーホーにも直営店をオープンしています。
出典:公式サイト | 金子眼鏡 (kaneko-optical.co.jp)
2006年には自らが作り手となるべく製造部門を設立し、鯖江市内に3つの自社工場を持ち、殆どの工程を内製化。自社生産体制を確立します。
日本全国に直営店を持ち、製造から販売まで一貫して自社で賄うSPA方式を実現している数少ない高級眼鏡製造会社として、日本国内において確固たる地位を確立しています。SPA方式のメガネ会社はJINS(ジンズ)やOWNDAYS(オンデーズ)、Zoff(ゾフ)といった大型チェーン店が取っている方式ですが、金子眼鏡のような価格帯のものは数えるほどしか存在していません。
出典:公式サイト | 金子眼鏡 (kaneko-optical.co.jp)
金子眼鏡の直営店(金子眼鏡店)と言えば(ファッションビル等の中にあるにもかかわらず)極めて雰囲気のある内装になっており、スタッフの皆さんも皆お洒落なので、ふらっと立ち寄るには若干勇気が必要ですが、今回は最初から購入する気が満々だったためそのような心配はなく、実際には非常に気持ちよく買い物が出来ました。スタッフの方も優しくて親切でした。あくまでも個人的な話ですが、敷居が高そうと勝手に誤解していたような気がしました。
しかし、余りにもカジュアルな雰囲気にしてしまうとブランドイメージが損なわれるし、金子眼鏡店は今のままで良いのだと思います。
金子眼鏡のブランド
金子眼鏡には現在4つのカテゴリーが存在しています。それぞれ見ていきましょう。
金子眼鏡シリーズ
出典:公式サイト | 金子眼鏡 (kaneko-optical.co.jp)
「金子眼鏡」は金子眼鏡のアイコン的なライン。
先述したように自社工場で全工程を一貫して内製化して製作されています。金子眼鏡の飽くなき追及心と矜持が感じ取れる「金子眼鏡シリーズ」を知らずして金子眼鏡は語れないと言っても良いかもしれません。
カネコセルロイド(KC)
出典:公式サイト | 金子眼鏡 (kaneko-optical.co.jp)
金子眼鏡シリーズには大きく分けて2つのラインが存在しています。
まずセルロイドフレームを採用しているカネコセルロイド(KC)。
殆どのメーカー・ブランドがプラスティックフレームの生地にアセテートを採用しているのに対してこのKCシリーズではセルロイドを使用しています。セルロイドはその扱いに非常に高い技術と多くの工程を必要としており、昔はよく使用されていた生地でしたが段々と少なくなってきているようです。
セルロイドは他の生地では出しにくい質感や肌触り、経年変化する深い色合い、艶が魅力的で、特にブラックの表情は格別だと言われています(逆にアセテートはブラック以外のカラーの発色が出やすいと言われますね)。
他にもテンプルに芯を打ち込まないノー芯製法や5枚蝶番等拘りの詰まった造りも相まって、金子眼鏡の矜持を存分に感じることのできるラインだと言えるでしょう。
カネコヴィンテージ(KV)
出典:公式サイト | 金子眼鏡 (kaneko-optical.co.jp)
クラシカルなディテールと現代的なファッション性を兼ね備えた、金子眼鏡の考える新しいヴィンテージ像を提案するカネコヴィンテージ(KV)。こちらはテンプルにβチタン、フロントにチタンを使用し、合金とは比較にならないほどの快適な掛け心地を実現しています。バネ性に富んでいながらも極めて耐久性にも優れている為、破損の心配も軽減されているところも極めて秀逸。
また、プラスティックとチタンのコンビフレームも展開しているのですが、コンビフレームさえも完全内製化により作り手同士の密接な連携が可能になっており、精度の高い完成度を誇っています。
SPIVVY(スピビー)
出典:公式サイト | 金子眼鏡 (kaneko-optical.co.jp)
「SPIVVY(スピビー)」は1997年に立ち上げられたライン(ブランド)で、機能美に拘ったスタイリッシュなメガネを生み出しています。
自動車のサスペンション用にも使用されるβチタンをテンプルとよろいを繋ぐパーツに採用し、スナップフィットに富んだ仕様になっているのが大きな特徴。繊細かつ大胆なデザインは掛ける者の個性を引き立てるだけではなく、ビジネスシーンやスーツスタイルとの相性も抜群で、金子眼鏡の中でもいい意味で異彩を放つラインだ言えましょう。
職人シリーズ
泰八郎謹製(タイハチロウキンセイ)
出典:公式サイト | 金子眼鏡 (kaneko-optical.co.jp)
セルロイド一筋の泰八郎謹製。テンプルに金属芯を使用せず、丁番に鋲をかしめて留めるノー芯製法を用いて一本一本丹念に手磨きすることによって、温かみのある柔らかい質感に仕上げているのが特徴です。
3年間寝かせて乾燥させ硬質化したセルロイドを使用。熟練の職人が丹念に手磨きしたセルロイドは特有の奥深い艶を放ちます。
半世紀に渡りメガネと向き合い続けた職人の中の職人だからこそ成し得る絶品は一見の価値ありと言えましょう。
井戸多美男作(イドタミオサク)
出典:公式サイト | 金子眼鏡 (kaneko-optical.co.jp)
井戸多美男と言えば一山フレーム。日本人に合うノーズパッドの高さ、伝統的な左右非対称丁番、テンプルエンドのしみ返し等繊細なディテールまで配慮されて製作しており、まるで重厚な機械を手足のように操って作っているようだと表現されます。
井戸多美男は昭和38年に父・井戸久秋を師と仰ぎ修業を始めており、現在では国内屈指のメタル職人と言われる重鎮。他では決してお目に掛れない名人芸が詰め込まれた井戸多美男作は一生に一度は味わい名品です。
恒眸作(コウボウサク)
出典:公式サイト | 金子眼鏡 (kaneko-optical.co.jp)
パーツのプレスや切開、パフ研磨などの工程には機会も使用しますが最終調整だけは僅かな工具と指先の感覚を駆使して実施するのが恒眸作(コウボウサク)の特徴。
古(いにしえ)の素材であるサンプラチナを用いた伝統的な製法を継承しながらも、そのデザインは圧倒的に現代的。30年以上のキャリアのを誇りながらも「死ぬまで勉強」といって憚らない姿勢から作り出されるアイテムは伝統工芸品とでもいうべき美しさを放ちます。
與市(ヨイチ)
出典:公式サイト | 金子眼鏡 (kaneko-optical.co.jp)
與市(ヨイチ)と言えば研磨技術。他の追随を許さないヤスリ使いは国内最高水準と言われて憚りません。
角を残した削り出しと同時に角を線で見せ、武骨ながらも繊細さを感じさせてくれる仕上がりはモノ作りを追求し続けた果てにある最高の逸品と言われています。
ISSEY MIYAKE EYES(イッセイミヤケ アイズ)
出典:公式サイト | 金子眼鏡 (kaneko-optical.co.jp)
イッセイミヤケがアイウェア開発をスタートさせたのは2015年。「用の美」を実現させるためにパートナーに指名されたのは金子眼鏡でした。
国内ブランドのなかでも1971年にスタートした古参であるイッセイミヤケ。今もなお日本を代表するデザイナーズブランドとして君臨し続けています。
そんなイッセイミヤケと金子眼鏡がタッグを組んで作るアイウェアと聞けばそれだけでワクワクしてしまいそうですが、一筆書きのような滑らかなブローラインが特徴の「BONE SERIES」やオランダで1924年に提唱された「エレメンタリズム(要素主義)」から着想を得たアセテートフレームのシリーズ「エレメント」等、期待を裏切らないアーティスティックなアイウェアがリリースされています。
金子眼鏡が手掛けるだけあってだたデザインに優れているだけではなく、各箇所に職人業も感じられ、まさに「用の美」を現わしているブランドだと言えるでしょう。
別ライン・カネコオプティカル
出典:楽天ファッション
金子眼鏡には別ラインでカネコオプティカルというものが存在しています。
こちらは手作りではなく機械での型押し等で製作してあり、その分リーズナブルな価格帯設定(凡そ20,000円台くらい)になっています。
金子眼鏡にも少しだけ置いてありましたがビューティーアンドユースやアーバンリサーチ等のセレクトショップとのコラボも積極的に展開されています。初めて金子眼鏡をという方には入り口としても最適かもしれません。デザインも一般的に掛けやすく扱いやすいようモディファイドしてあるため、非常に取っつき易い印象になっています。
何故金子眼鏡を選んだのか
出典:公式サイト | 金子眼鏡 (kaneko-optical.co.jp)
昨年末にモスコットのレムトッシュを購入し、次はどの手を打とうかと思案していました。
アイウェアの世界はとても深くて広いので、次にどの方向へ進むのかは非常に悩ましいところです。
例えば海外ブランド。これにもデザイナーもの、老舗メーカー、そしてブランドは海外のものでも鯖江でOEM製造されているものもあります。更に、国内ブランドもデザイナーが関わっているものも沢山存在しています。
様々逡巡しましたが、やはり「これぞ鯖江」というブランドに進むべきだと思いました。
日本が世界に誇る福井県鯖江市を象徴するようなメガネを所有してこそ、次に進めるというもの。これはなかなか理に適った筋道だったと思います。
そうすると、SPA方式で直営店にて購入できる金子眼鏡に足を運ぶのは自明の理だとも言えます。色々なブランドのものが置いてあるセレクトショップで選ぶのではなく、「鯖江のもの」と決めているのであれば金子眼鏡一択。鯖江の職人業を存分に体感し、日本の伝統工芸を体感することこそ、自分のメガネ道の次の一歩に相応しいと思いました。
私の居住している熊本の金子眼鏡店はファッション系複合ビルの一角にあります。
ジャーナルスタンダードやフリークスストア、無印良品に用がある時に眺めていたのですが入ったことはなく、外から「お洒落だな」と思って眺めていました。
所狭しと並ぶ金子眼鏡のメガネは外から眺めるだけでも惚れ惚れし、いわばちょっとした憧れのような存在でもあったのです。
金子眼鏡・カネコセルロイド KC12Rレビュー
今回金子眼鏡を購入するにあたり、どのシリーズにするかはほぼほぼ決めていました。
初めての金子眼鏡。泰八郎謹製等の職人シリーズやイッセイミヤケも気にはなりますが、間違いなく選ぶべきなのは金子眼鏡シリーズです。
先述したように金子眼鏡シリーズにもセルロイドフレームのKCとメタル(チタン)フレームが中心のKVの2つのラインがありますが、やはりキホンのキであるセルロイドのKCシリーズで決まりでした。
付属品
まずは付属品から。ケースオブケースは木箱。もうほとんど工芸品と同じで、購入時にかなり気分が上がりました。極めて美しく、雰囲気が抜群です。このような世界観の作り方が金子眼鏡は徹底していますね。
ケースは上質なスムースレザー製。ブラックとオレンジの2種類から選択可能でしたが敢えてオレンジを選択。オレンジのケースは珍しいしインスピレーションもこちらを示していました。
内側はベルベット生地。シンプルなメガネ拭きも好感が持てます。
ギャランティカード。金子眼鏡のロゴもとても格好良いですね。
生地
KCシリーズの生地は先述したようにセルロイド。現代における多くのブランドのプラスティックフレームはアセテートが主流で、セルロイドフレームのメガネは余り多くは市場に出回っていないとのこと。セルロイドは生成にアセテートよりも高い技術と多くの工程が必要となる素材で、独特の肌触りや質感、経年変化を誇ります。
金子眼鏡のスタッフの方も言われていましたが、特にセルロイドの強みが出やすいカラーはブラックであり、コクの深い表情を愉しむことが出来ます。漆黒というか、黒のなかでも深みのある黒といった感じですね。
耐久性にも優れ、経年劣化もし難く、兎に角長持ちするとか。
エイジングも独特で、よりコクが出て来るらしいので楽しみですね。長い付き合いになりそうです。
ディテール
シェイプ・ブリッジ・リム
シェイプはやや小ぶりでカーブの効いたボストンタイプ。ボストンはおむすび型と言われる極めてベーシックなシェイプですが、下に行くにしたがってやや非対称にカーブが掛かっており、クラシカルな雰囲気に拍車が掛かっています。
こちらは内側から見たところ。
ブリッジ形状は鍵穴のようなキーホールブリッジと呼ばれるもの。ベーシックでクラシカルなディテールです。
やや細身のリム幅は主張が少なく、それでいてしっかりとした印象。
セルフレームながら使えるシーンに幅がありそうなこともKC-12Rを選んだ理由の一つです。
テンプル、丁番、ノーズパッド
テンプルは補強用の金属心を打ち込まないノー芯製法で製作されており、素材自体の魅力をより際立たせています。
かしめ留め(丁番をハンマーで叩いて固定する伝統的な製法)による5枚丁番。堅牢製に優れる5枚丁番は高級メガネの証とも言われます。
ノーズパッドには「金子」の彫金。ああ、もういっそのこと金子という名字になりたい。
その他
48時間×3段階のバレル研磨を経て自然な丸みと素材本来の美しさが引き出されているとのこと。見れば見るほど美しいですね。
各所の刻印。金子眼鏡の矜持が見て取れる部分ですね。一番好きなのは左下の「創業昭和三十三年」かな。右テンプルの内側に位置しています。
レンズ
今回はクリアレンズ(UVカット)のブルーライトカット仕様にしました。
レンズは本体価格と別途3,000円。良心的な価格です。
殆ど分からないくらいの薄いブルーライトカットが入っています。普段仕事でPC作業が多いので重宝しそうです。
着用イメージ、サイズ感
サイズは46。フィッティングは耳のかかり具合だけ微調整してもらい他はピッタリでした。勿論掛け心地は抜群です。
フィッティングはきつめが好みなのかゆったり目が好みなのか等実店舗で聴き取りしてもらいながら行ってもらうのが大切ですね。私はきつめが好みなのでそれを伝えてジャストフィットに仕立てて貰いました。
金子眼鏡は専門小売店なので様々なブランドを取り扱っているショップよりもフィッティングについても安心感がありました。後々のメンテナンスも安心ですね。
ボストンのセルフレームは初めてですが、ウェリントンやスクエアよりも優しい雰囲気が出るように思えます。セルの太さもほどほどなので用途の幅も広そう。元々ブラックよりもデミやブラウン等の方が肌馴染みが良いと思っていましたが、(自分で言うのもなんですが)黒縁も意外と似合う事が分かりました。
ボストンフレームに関しても悪くないですね。やはり一本は持っていたいフレームタイプなので良かったと思っています。
まとめ
今回は金子眼鏡の概要とカネコセルロイドのKC-12Rのレビューを述べて参りました。
鯖江も数えきれないくらいのメーカー、ブランドが存在していて海外ブランドの委託製造なんかも行っていますが、金子眼鏡は間違いなく鯖江を代表するブランドの1つなので、今回実際に所有することで鯖江の凄味を体感できたことは大きかったと思います。
実際に所有してみるとやはり満足感もありますし、その美しさや抜群のフィット感に脱帽しました。
金子眼鏡だけをとってもまだまだ未経験のシリーズがあるので、2本目も考えたいと思っています。
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