「タンタン」・・・タンタン
皆さんは「タンタン」と聞いて、何を想起するだろうか。
パンダの名前？「タンタンの冒険」？はたまた、担々麺？
当たり前だが、今回ご紹介するのはそのいずれでもない。
TANGTANG（タンタン）は2011年にスタートしたTシャツ専業ブランドの名称だ。
デザイナー・丹野真人氏が手掛けるこのブランドは何とも拍子抜けするようなネーミングだがなかなか面白くて、今回自身2回目の購入になる。
今回購入したのは長袖Tシャツだが、以前手にしたものは半袖で、食事に行った際に醤油を豪快に溢してしまいあえなくサヨナラしてしまった（極めて遺憾だ）。
この記事ではTANGTANG（タンタン）とはどのようなブランドなのかと、購入した長袖Tシャツのレビューをお届けしたいと思う。
TANGTANG（タンタン）とは
出典：Free Strain
TANGTANG（タンタン）は2011年から（ほぼほぼ）Tシャツのみを作り続けているブランドである（実はパーカとスウェットシャツも作ってはいる）。デザイナーは丹野真人氏。丹野氏の経歴を見てみると、コムデギャルソン、アンダーカバーでの経験を経ていることが確認できる。これは正直言って見逃せない経歴だ。日本を代表すると言って良いブランドであるコムデギャルソン、アンダーカバーに所属していたと聞くと、それは全く以て大きい「箔」だと思っていいだろう。因みにアンダーカバーとはコラボでTシャツをリリースしたりしているので現在でも関係性の良好さが窺い知れる。・・・全く勝手な印象なのだが、TANGTANG（タンタン）という拍子抜けしそうなネーミングのブランドのデザイナーがコムデギャルソン、アンダーカバーに所属していたというのは如何にもイメージしづらい。まったくの余談ではあるが・・・。
TANGTANG（タンタン）は自社ブランドのTシャツだけではなく、銀杏BOYZ（余談だが私は峯田和伸氏の大ファンだ！）や惜しまれつつ解散したBISHのツアーTシャツをデザインしたりもしているが、そもそも丹野氏は中高生時代からパンクやロックが好きだったそうだ。
あれこれ手掛けるよりもTシャツ一本に絞ったほうが誰にも負けないものが作れる自信があるといった思いからTANGTANG（タンタン）をスタートさせている。デザイナーというものはやはり凡人にはない発想をするものだと改めて感じ得るエピソードだ。
TANGTANG（タンタン）のTシャツの特徴
出典：TANGTANG公式HP
- ユーモラスなテーマ
出典：PR TIMES
TANGTANGのTシャツは極めて自由。
例えば丹野氏の好きが高じて展開されているカレーTシャツの存在はまったくいい意味で個人的過ぎるし、アラビア語やヒンディ語を印象的に使ったり、勿論日本語がひょっこり採用されていることも多い。
Tシャツのデザインって、柄以外だと文字かフォト、或いはいたラストくらいしかバリエーションが思い浮かばないものだが、TANGTANG（タンタン）のデザインを見ているとその範疇の中でもこんなアイディアがあったのかと思ってしまう事が良くある。
ユーモラスで自由で、それでいて何故かしっくり来てしまう。2011年のスタート以来多くのセレクトショップでも取り扱われているが、なかなかありそうでない独特の存在感を放つTシャツとして認識されている理由の一つはこのユーモアに溢れたデザインだろうと思う。
この他にも岡本太郎氏や佐内正史氏等の芸術作品をフィーチャーしたデザインを取り入れる等、いったいどんな頭の中をしているのだろうかと言いたくなるほどいい意味で突飛なセンスをしている。
因みに、TANGTANG（タンタン）のプリントはシルクスクリーンという何十年も前からある技法で綿100％のTシャツに水性のインクをプリントしていくそうだ。
- 多岐に渡るコラボ
出典：SALONE
TANGTANG（タンタン）は実に様々なブランドとコラボレーションしている。先述した丹野氏の古巣であるアンダーカバーをはじめ、DELUXE、ネペンテス、Bshop、トゥモローローランド等のブランドやセレクトシップは勿論、丹野氏のルーツであるロックやパンクバンドのツアーTの製作、そしてコラボではないがあのSacai（サカイ）のTシャツ製作をOEMよろしく請け負ったりもしている。
Tシャツという、何かと何かの媒介になりやすいアイテムを主軸としているブランドなのでその辺りの汎用性の高さも売りの一つと言えなくもないのだろうが、TANGTANG（タンタン）の持つ独特で唯一無二の世界観は様々な分野のトップリーダーの琴線に触れるのだろうと感じている。
- 妥協のない素材と普遍的なシルエット
出典：トゥモローランド楽天市場店
TANGTANG（タンタン）に関するトピックは何もそのプリントデザインだけではない。勿論ボディに採用されている素材にも拘りが詰まっている。
TANGTANG（タンタン）のTシャツに使用されている素材は全てコットン100％で、さらっとしており肌触りが良い特徴を持っている。程よい厚みの天竺ボディは高級感のある風合いを持ち合わせており、やや横の縮みはあるものの、「やはりTシャツの素材と言えば天竺だ」と思わせてくれるクオリティだ。
Tシャツ専業のブランドを作った丹野氏の行きついた答えがこれだったのだろうと思っているが、恐らく真相はかなり近しい感じなのではないだろうか。
個人的にはコットン100％の天竺素材の良さが最も際立つのはホワイトカラーなのではないかと思っている。天竺編みは天然素材であることがとても分かりやすいのだが、それがホワイトだと更に際立つ為である。
出典：アダムエロぺ楽天市場店
シルエットは極めて普遍的なもので、やや身幅が広めで身丈が程よく短め。ボックス型に近いシルエットになっている。
「結局このくらいがちょうどよい」。TANGTANG（タンタン）のTシャツを着ると格好そういった感想が重い受かぶ事が多い。
TANGTANG（タンタン）GASATANG（ガサタン）ロンTレビュー
こちらが今回ご紹介するTANGTANG（タンタン）の長袖Tシャツ。
GASATANG（ガサタン）は最近毎期のようにリリースされていて、TANGTANG（タンタン）の定番シリーズになっている。
GASATANG（ガサタン）とは
GASATANG（ガサタン）はスタイリストの伊賀大介氏、写真家の佐内正史氏とTANG TANG（タンタン）の丹野氏が手掛けるフォトプリントシリーズである。
佐内氏の写真のアーカイヴの中から伊賀氏、丹野氏が厳選した写真をピックアップし、フォトプリントとしてTANGTANGのTシャツのボディに載せている。
私は正直なところ芸術面の知見が皆無に近いので、この作品がそのように意義深いものなのかどうかはよく分からない。しかし、色彩の具合と雰囲気は何故だかとてもTANGTANG（タンタン）らしいし格好良い。とても不思議である。
Tシャツの中でもなかなか見ない両面プリントで、後ろはこのようになっている。全く脈絡がなさそうなのだが、何故かしっくりくる気がする。芸術は深い世界なのであまり詮索すると火傷しそうだから意味について考察はしないでおこうと思う。
でも、兎に角色彩のバランスは抜群だ。
シルエット、ディテール、生地
23AWのアイテムということが裾部分のプリントに示してある。
長袖Tシャツを選ぶ時、まず見るのは袖にリブがあるかどうか。そういう人は多いだろう。心配無用。きちんとリブ仕様である。腕を捲る時にリブがないと成り立たないため、ロンTを選ぶ際は間違いなくこちらのほうが良い（セントジェームスなどのバスクシャツだけは別）。
先述したように、奇をてらわない普遍的なシルエット。妙にビッグサイズだったり、トレンドをまるで無視したスリムシルエット等ではなく、いやらしくない程度にリラックス感のある絶妙なシルエットになっている。若者からおじさんまでバッチリ適応できる作りだ。
勿論コットン100％の天竺ボディ。抜群の風合いで着心地の良さも袖を通す前から既に分かる程である。
コーディネート、サイズ感
メガネ：TOM FORD（トムフォード）
Tシャツ：TANG TANG（タンタン）
シューズ：コンバースタイムライン・ワンスター
173㎝61㎏でLサイズを着用。
ご覧のように程よいリラックスフィットになっている。鮮やかなカラーリングのフォトプリントが爽やかながらもやはりどこかアーティスティックな印象だ。
フォトプリントは（余程センスのないフォトでなければ）意外と大人が着てもサマになるものだが、特にGASATANG（ガサタン）のフォトデザインは実際に着用してみるとよりそのバランスの良さと雰囲気の良さが際立つように思える。
タックインしてみる。タックインしても裾を捲ってみても良い。やはりなかなか使い勝手が良さそうである。
後から見るとこんな感じ。両面プリントで、前と後ろの印象が随分違う事が良くわかるかと思う。なんだか2枚分同時に着ているようで、ある意味得した気分だ。
LAD MUSICIAN（ラッドミュージシャン）のビッグモッズコートを羽織ってみた。コートやジャケットのインナーとしても優秀である。
長袖Tシャツは使用する期間が極めて短いアイテムデアはあるが、だからこそ今までプリントものを持ってこなかったわけで、今後貴重な一枚になりそうである。
繰り返しになるが、センスの良いフォト作品がプリントされたTシャツは存外に使い勝手が良いものである。
まとめ
TANGTANG（タンタン）というブランドを端的に現わすとすれば、やはり「面白い」という表現が相応しい。でも、ただ面白いだけではなく、ルーツもしっかりしているし品質の担保も抜かりない。
私は何故かそういう趣きのブランドに惹かれる傾向があるようだ。
この辺りも同一のカテゴリーでは括れないものの、どこか近しい匂いを感じたりする。
ユーモアをお洒落に転嫁するには並々ならないセンスが必要だと思う。ただただ面白いだけではただの「シャレ」になってしまいかねないし正直言ってダサい。着たくもない。
でも、TANGTANG（タンタン）はまるで違って、面白いけれどもお洒落で魅力的である。
Tシャツ専業に近い性質を持っている同ブランドだが、この「専業」というのも大きいファクターである。何かを買おうと思ったときにはその専業（に近い）ブランドが最も信頼できるものと言えるのではないだろうか。
「革靴を買おう」と思ったら専業ブランドから探すのが良いし、「バッグを買おう」と思ったらバッグのブランドから探すのが常套である。それと同じというのは言いすぎだろうか・・・。現にTANGTANG（タンタン）デザイナーの丹野氏がTシャツ専業ブランドを始めたきっかけも、「Tシャツ一本に絞ったら誰にも負けない自信がある」といった自負からなのだ。
この春夏、もしもTシャツを買おうと思っている方がおられたら是非TANGTANG（タンタン）もその候補の一つに入れてみられたらどうだろう。きっと後悔はしない筈である。
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