YMのメンズファッションリサーチ

メンズファッションについて、ブランド、アイテム、ショップ、人物等様々な角度からリサーチします。

GUやユニクロが高齢者のケアシューズを作るべき理由を、とくと解説します!必見!

目次

 

現役の専門職が述べる未開拓同様の分野、それが高齢者用ケアシューズ

過去記事で述べたように、私は高齢者関係の仕事に従事しています。

 

ymfresearch.info

 この過去記事では、「ユニクロが世に送りだしたウルトラライトダウンが数多の高齢者の生命を救った」と憚らず語っているわけですが・・・。

他のアパレル関連企業とは比較にならないほどの大きなロットと販売網を誇るGUやユニクロが、今絶対に手を出すべき分野を今回は発表いたします。

・・・それは・・・

 

出典:アサヒシューズ公式HP

 

高齢者のケアシューズです。それでは次項からその理由をとくと述べていきます。

 

高齢者ケアシューズをGU、ユニクロが作るべき理由

①(プライスが)高い

ダブルマジックⅢ

出典:あゆみシューズショップ公式通販

 

現在広く流通している高齢者ケアシューズの相場はどのくらいか御存知ですか?

6,000円~8,000円程度です。矯正用やリハビリテーション特化モデル等はもっとする場合もあります。

はっきり言って高い。年金暮らしの高齢者にはバカ高いと言って良い値段設定です。

多くはメイドインジャパンでモノは悪くありません。しかし、私達の身の回りでも服や靴に興味のない人たちにとっては、シューズに6,000円~8,000円かけるというのは少し気が引ける場合も多いのではないでしょうか。私が知っている限り、「オシャレなものが履きたい」と言いいながらケアシューズを探す高齢者はほとんどいません。だったら少しこのプライスは高すぎます。

ここで、GUが、ユニクロが2,000円で、3,000円でケアシューズ・・・つまり、身体的に不自由な高齢者でも普段使いしやすいシューズ(どういうものなのかは後述します)を作って売ったらどうでしょうか?言わずもがなですよね。

 

②販売網が限られている

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出典:「介護の仕事はカッコいい」をクリエイティブの力で表現 介護の魅力発信 「KAiGO PRiDE」プロジェクトを始動|株式会社just on timeのプレスリリース

 

高齢者・・・特に介護や支援が必要になっている方々が、どのような手段でケアシューズを購入するのか御存知でしょうか?私たちのように車を飛ばして小売店まで行ったり、ネットを駆使して通販で購入したりすることはできません。

①家族に買ってきてもらう

②通っている、若しくは出入りする介護事業所に展示してあるものを見て注文する

③担当のケアマネジャー等の関係者に相談して注文する

大体こんなところです。そして、②と③の販売業者はどこなのかというと、福祉用具事業所や義肢装具等を取り扱う会社になります。こんな限られた販売網で、恐らく全体の8割方は賄われてしまっている、非常に未開拓性の高い市場なのです。ここでGUやユニクロが販売ルートを作って市場開拓したらどうでしょうか。面白いことになりそうです。

 

③製造されている大元が少ない

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出典:【価格.com】介護靴 | 通販・価格比較・製品情報

 

会社名はさすがに伏せますが、これだけ高齢社会に拍車がかかってきた現在でも、ケアシューズを製作している会社は本当に少ないです。軽く調査してみても、身の回りでは10社も見当たりませんでした。こんなことがあるでしょうか。非常に稀なことだと私は思います。長年互いにライバルが少ない中でやってきているせいか、製品のアップデートも顕在化していないようにも感じます。アパレルアイテムやスニーカーの技術はこれだけ日進月歩なのに、この分野は明らかに進化の爪痕が少ない。これは高齢者関係の専門職ならばきっと頷いてくれることではないかと思います。少なくとも20年ほど前からほとんど変わらない。

 

④メインターゲットを高齢者にシフトしていくにはもう遅すぎるほどである

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出典:超高齢化社会に備える健康と健口 – Flora & Metabolite Lab.

 

もう、関係者ではなくとも超高齢社会の到来はわかっているところですよね。3人に1人が65歳以上の社会はもう既に来ています。そして少子化の影響でその高齢社会の終焉はまだまだ先のこと。これから先企業が生き延びていくには、高齢者をターゲットにした事業は欠かせないファクターであることは自明の理

若者の数は減っていく。少なくなるところをいつまでもメインターゲットにしておいてどうなりますか?ある程度、60代、70代にも受け入れられる企業としての性格を確立していくことは非常に重要なことです。数の原理上それはもう避けられないことだと言って良いでしょう。

若者をメインの顧客層に据えているGU、その上の世代も幅広くターゲッティングしているユニクロ。両社とももっと上の年代まで見たマーケティングをやっていってもいいかもしれませんね。

 

具体的な進捗方法

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出典:福祉用具のお店「介護用品館」 | 株式会社カクイックスウィング

 

①開発

私見も入っていますが、身体的に不自由な高齢者のシューズだからと言って極端にノーマルなシューズとの違いがあるかというとそんなことはありません(だからえらく高いケアシューズに納得できない)。軽くて歩きやすく、転びにくく、着脱しやすい。ついでに通気性が良い。こんな感じで十分です(特殊なケースは覗く)。並べてみると、そんな感じモノ、作れそうでしょう。作れますよ。例えばユニクロが販売しているニットスニーカー。

出典:ユニクロ公式

 

これはニット素材で通気性が良く軽い。これを少しアップデートしてマジックテープ式の大開口アッパーに作り替え、ソールを程よく薄くすればほぼほぼ出来上がりです。今あるケアシューズと大差ありません。これが3,990円なので、既に十分安値です。

そんなに開発が難しくないという事が分かって頂けたかと思います。

一つだけ注意点を挙げれば、ケアシューズは片方ずつの販売になっています。これは、片脚に装具を装着しなければいけない方もいるのでそうなるのです。しかし注意点と言えばそのくらいです。

 

②販売方法

ケアシューズの現在の主な販売方法は前述しました。高齢者のマーケットがどのような仕組みで動いているのか、少し調査すれば答えはすぐに見えてきます。

小売店に置いただけでは難しいでしょう。ネット販売もうまくいくのはもっとずっと後の時代だと思います。現状はもっともっとアナログ。

高齢者の生活マネジメントを司っている専門家たちや、販売の主線に立っている福祉用具会社等にアプローチし、一気に販売網を拡大していくのが上策でしょう。

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出典:介護福祉用品の販売|ケアショップK&M

 

大体ケアマネジャーや福祉用具事業所の人間はカタログを常備しています。そこに差し込むことができれば、あとは取り寄せでOK。カタログ掲載はやや保守的な雰囲気があるので難しいかもしれませんが、一緒に会社自体のカタログを彼らが持ち歩けばそれでよいのです。「安くて良い物」を開発していれば、おのずとそちらに顧客はなびいていくものではないかと思います。

 

③ブランドイメージを変える

出典:ユニクロ公式

 

これはユニクロの前開き下着の画像。これを見たときに非常に感心しました。介護が必要になった高齢者の肌着は、この「マジックテープ仕様の前開きタイプ」が最良の選択だからです。上肢の可動域に制限がある場合、プルオーバータイプの肌着は着脱が非常にしにくい。ではスナップボタンにしたら?スナップボタンは肌がぜい弱な高齢者にとっては時に凶器になります。肌への干渉の少ないマジックテープタイプしか正解があり得ないのです。

既に、こんなに良いモノをリリースしているユニクロ。シューズもですが、高齢者介護のプロの意見を取り入れて高齢社会にそぐったアイテムをリリースし続けることでブランドそのもののイメージを徐々に変化させていくことができるでしょう。

 

今回のまとめ

何だかんだといっても、やはり今回のお話の肝は価格です。地味な部分かも知れませんが、シューズの値段に関して思い悩む高齢者も多いのは事実。高いからと言って、ホームセンター等で900円位で購入した物を履いてもすぐに壊れてしまう。低価格・高品質なケアシューズの出現を待ち望んでいる高齢者は全国に多くいるのではないかと確信しています。

 

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出典:「介護の仕事はカッコいい」をクリエイティブの力で表現 介護の魅力発信 「KAiGO PRiDE」プロジェクトを始動|株式会社just on timeのプレスリリース

 

私は(こんなことを言えば怒られそうですが)高齢者関係の仕事を格好いいとは思っていません。得てして、「格好いいもの」などそんなに世の中に多くはない。最近「介護はカッコイイ」とキャッチフレーズを作り活動するのが一部の団体を中心に盛り上がっているようですが、あまり好きではありません。因みにハートフルだとも思っていません。背のびして「格好いい」とか「ハートフルだ」等と声を挙げなくても良い。

高齢者福祉は世の中の流れ上非常に合理主義的立場から見なければいけない至極現実的な職業です。だからこそ「格好良くはないけれど絶対に必要なのだ」という現実をみつめるべきなのではないかと思っています。私は社会福祉士ですが、綺麗事はきらいです。超高齢社会の中で甘いことは言ってられないのです(少し言い過ぎたかな・・・)。

高齢者のシューズに関しても一緒。「絶対に必要なもの」なのですよ。そこに今競争原理が余り働いていない。

「日本人の国民服」を自称する(自称していたかは定かではない(笑))ユニクロと、同程度に近いロットで製造することのできるGUは、高齢社会に絶対必要なケアシューズという分野に割り入って、低価格・高品質なアイテムを作るべきだとここに断言致します。ケアシューズが高くて困っている高齢者の方々を是非笑顔にしてください。

 

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