何でもかんでも褒めるばかりではない
さて、今回は私、辛口評価を致します。
以前、こちらの記事で・・・
GUのリアルレザーモカシンシューズをベタ褒めしました。実際、このリアルレザーモカシンシューズの出来は素晴らしく、(余り細部まで気を付けて見なければ)本家クラークスさながらの高クオリティであり、それが4,990円という超低価格で手に入る驚きについて熱弁したところでした。
しかし、今冬の新作の一つであるこのリアルレザーワークブーツ(5,990円)は・・・
「これはいけない!」
これまでリアルレザーシューズ、リアルレザースニーカー、そしてリアルレザーモカシンシューズと傑作本革シューズシリーズを連発していたGUですが、個人的に「これはやっちまっている!」実物を見てそう率直に感じました。
リアルレザーワークブーツを何故評価できないのか
踏み込んではいけない領域なのでは
今回リリースされている「リアルレザーワークブーツ」のデザインソースになっているのは間違いなくレッドウィングの名品モックトゥ#875から派生したナンバリングのモデルです。これまでのヒット作リアルレザーシューズは一杯種類があるのですが、一般的に定番化している紳士靴のタイプで、どこのブランドの何をデザインソースにしたのか等という特定はできませんでした(というか、する必要性もなかった)。リアルレザースニーカーはadidasのスタンスミスがデザインソースなのは明らかですが、そもそも「コート系スニーカー」として般化しているデザイン。リアルレザージャーマントレーナーも過去記事で解説したように何か特定のブランドの物を指すものではなく、ドイツ軍に支給されていたトレシューの総称を指すものだから問題なし。
特定が必至になったのはリアルレザーモカシンシューズですが、クラークスというマス層まで広く親しまれているポピュラーなモデルだし、コアなファン層限定でウケているという感じもないのでそうそう違和感はありませんでした。
しかし、今回は少し事情が異なります。
レッドウィングはコアなファンが数多存在する、アイコニックではありながらもニッチなカテゴリーに分類される、ある意味特殊な位置取りをしているブーツブランド。つまり、履いている層の拘りが強いのです。
いままでのリアルレザーシリーズとは漂ってくる違和感が少し違いました。これは・・・いけないと思います・・・。踏み込まないほうが良かった領域だったのでは?
サイドジップをプラスした件
勿論さすがはGUと言いたくなるほどパッと見のディテールはレッドウィングのモックトゥを忠実に再現しているようにも見えるのですが・・・
これ!このサイドジップ。これをプラスしているのです。
これはいけない。
ハイカットブーツなので容易な着脱を促進するためにプラスしたい気持ちは分かるし、最近のトレンドになっているようでハイブランドのブーツには結構軒並みサイドジップディテールが見られるのは知っています。
でも、「レッドウィングっぽく作ったもの」に、サイドジップを足したらダメですよ。方向性やコンセプトに一貫性がなくなるじゃないですか。
恐らく、「GU価格で本革のレッドウィング気分を」って感じでしょう?それじゃあ、これは要らないでしょう。折角パッと見はレッドウィングっぽくできていて、あくまでも「気分」ではあるもののそれらしく履けるという見方も出来るのに、これで台無しになっている気がします。さしもの私も、どう合わせてよいのか分かりませんよ。
それに、ワークブーツは足を通して、シューレースをキュッと締める、あの瞬間がたまらないのに・・・。デザイナーズブランドのブーツとはそこは違うんですよ。どちらがいいという話ではなくて、それを混同させたら・・・ね。
軽い
実際に履いてみました。
あのですね、軽いんですよ。
いや、分かります。これまでのリアルレザーシューズも、軽くて履きやすくて。とっても良かった。
でもですね、ワークブーツは余り軽いと良くないですよ。だって、ワークブーツだもの。ワークブーツは重みがあって、硬くて、でも我慢して履いて、履き込んで履き込んで、やっと自分の足に馴染んでいく。靴擦れの修行に耐え抜いた末の景色を見るために忍ぶのです。ソールが傷んでも張り替えして、大事に長年履いていく。そういうものです。違いますか?
例えばリアルレザーモカシンシューズのソースになっているクラークスのワラビーとはその辺りが決定的に違うのです。だから、軽いと萎えるんです。いくらGUのシューズであっても。
いや、分かりますよ。ファストファッションブランドのシューズだもの。そういうコンセプトでは作っていないんですよね?
でも、じゃあレッドウィングに似せて作るべきではないのでは?こういうルックで作ると、どうしてもレッドウィングのモックトゥを想起してしまうものだし、レッドウィングを知らない人が履いても、知っている人から見て余り良い印象にならないのではないですか?
まとめ「買ってはいけない」
というわけで今回はGUが今冬リリースしたリアルレザーシリーズの新作「リアルレザーワークブーツ」をレビューしてきました。
GUのリアルレザーシリーズは、これまで数々の傑作を生みだしてきており、正直言って本革のシューズ(や小物)を超低価格でリリースしているモンスターラインになり得ていました。
しかし、このリアルレザーブーツは違うと思います。
これは「買ってはいけない」!
いつものようにインフルエンサーさん達がおすすめしていても、少なくとも私は声を大にしてそう言いたい。
理由は先述した通りですが、コンセプトの詰め方にやや甘さを感じるのと、前作までのヒットを受けて「踏み込んではいけない領域」まで踏み込んだような気もするからです。できれば一歩だけ戻ってほしい。戻ってきましょうよ。
偉そうに述べてしまいましたが、たまには感じたことを忌憚なく述べるべきだと思った次第です。
無論、価値観やニーズは人それぞれなので、全ての人におすすめできないというわけでは決してありません。私はあくまでも今までのリアルレザーシリーズと同様の感覚で購入しようと思うと失敗する可能性が高いと感じたまで。
例えば、「レッドウィングのモックトゥを検討しているけれど、その雰囲気が分かり難いから取り敢えずこれを買って履いてみて考える」というニーズには応えられるかもしれません。ただし、レッドウィングのモックトゥにサイドジップはありませんので悪しからず。
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