YMのメンズファッションリサーチ

メンズファッションについて、ブランド、アイテム、ショップ、人物等様々な角度からリサーチします。

【ユニクロ、なにしてんの?】最近のユニクロは特別コレクションの発表もなく、つまらない?

 

最近ユニクロに行かなくなった件

出典:プレジデントオンライン

 

私は服好きで、ファッションブロガーだからそれなりにファッションには幅広く精通しているつもりだ。

しかし、「最もよく行くショップはどこですか?」と問われれば、下手すれば「ユニクロ」と答えていたかも知れない。そのくらいよく顔を出していた。

ところが、最近ユニクロにあまり行かなくなった。

用がないのだ。

当ブログではユニクロカテゴリーが存在しており、記事数は80を優に超えている。しかしここ最近更新はあまりない。

若干意外なことに、その事実に関してあまり自覚がなかった。気付けばそうなっていたという表現が最も近い。

・・・あんなにユニクロが好きで、足繁く通っていたのに・・・。

今回はその件について述べていきたい。

 

ユニクロの顧客層

出典:ユニクロ公式オンラインストア

 

そもそものユニクロの顧客層と構造について考察してみたい。

相当雑把な言い方をすると、ユニクロの顧客層は二分される。

「良いモノを安価に買いたい」という、誤解を恐れずに言えばファッションへの興味が余りない層がそのうちの一つ。この層の方々の目当ては常時店頭に並んでいるインラインのアイテム群である。

もう一方はファッションに関心がある層。この層はインラインの良品も物色はするが、定期、または不定期で発売される特別コレクションが目当ての場合が多い。

この二つの層がそれぞれ往来することもあったり、互いの交差点辺りに位置する場合も往々にしてあるだろうが、雑把な分析とするならな当たらずも遠からずだろう。

「ライフウェア」を標榜するユニクロは、「良質な普段着」こそが真骨頂。他では真似できないような価格設定で驚くような質の「普段着」をリリースし続けてきた。「マスターピース」と称して、「日本人の国民服」足り得る定番を目指してきた様相は強い。

 

ユニクロの特別コレクションが持つ意味

出典:ユニクロ公式オンラインストア

 

しかし、それだけでは取り込めるのは先述したファッション感度があまり高くない層が中心になってしまう。総じてというわけではないが、傾向としてそうなっていくのは必然の流れである。

しかし、近年ユニクロは有名デザイナーや有名ブランドとのコラボコレクションを連発してきた。「ダサい」というイメージを払しょくする意図と、ファッション感度の高い層を取り込むこと、そしてインフルエンサーの発信材料となる傾向を促進し、気づけば「共通言語」としての存在だけではなく、「オシャレ」「特別なブランド」という価値を自らに付加してきたのだ。

クリストフ・ルメールのデザインチームとのコラボコレクションであるユニクロU(ユー)やロエベを再建したといわれる気鋭のデザイナー・ジョナサン・アンダーソンとのコラボ・ユニクロ&JWアンダーソン、そして休止しているユニクロ+J(ジル・サンダーとのコラボ)等がそれにあたる。インラインとは明確な価格差をつけることで(とはいえ、あくまで殆どが「ユニクロ価格」ではある)ユニクロで売っているものではあるものの、ある種の特別感を演出し、インラインにはない上質な生地使いやデザインで差別化を図っている。話題になるコレクションの場合は発売日にオンラインストアのサーバーが落ちたり実店舗はニュースになるほどの行列も出来るくらいの反響を獲得してきた(勿論それは転売ヤーの存在抜きには語れない。しかし二次流通界隈で定価以上の価格での取引が為されるという事はどういうことか。言わずもがなだろう。)。

 

最近のユニクロがつまらない理由

 

特別コレクションのリリースが減少

出典:ユニクロ公式オンラインストア

 

さて、件(くだん)の、最近ユニクロがつまらない、ユニクロに行かないという事についてだが、その最たる理由はやはり何と言っても特別コレクションリリース頻度の低下に他ならない。

近年のユニクロの特別コレクションのリリーススケジュールは、

2月  ユニクロU(ユー)春夏

3月  ユニクロ&JWアンダーソン春夏

9月  ユニクロU(ユー)秋冬

10月 ユニクロ&JWアンダーソン秋冬

を軸にして、その間にユニクロアンドセオリーやユニクロアンドヘルムートラング、ユニクロアンドホワイトマウンテニアリング、ユニクロアンドマルニ等といったものが不定期に入ってくるといった様相だった。昨年はひっそりとだがハワイの老舗アロハシャツブランド・レインスプーナーとのコラボも発表されたくらいだった。要は、一年間ほぼほぼ途切れることなく何かしらのイベントを打っていたとみることが出来る。

しかし、今年に入ってメンズはユニクロU(ユー)とユニクロ&JWアンダーソン以外のコラボコレクションは全く発表されていない。一切だ。

何か特別な意図があるのか等と勘ぐってさえしまいそうなほどに波風が立たない状況である。

先述したように、ユニクロの特別コレクションは同ブランドの中でも極めて特殊な役割を担っている。SNS界隈も賑わわないし、ファッション感度が高く、特別コレクションを愉しみに待っている層はユニクロ離れしてしまいかねないように思えてならないのだ。かくいう私もまさしくその中の一部である。

いくらTシャツラインのUTでコラボを連発しても、それはデザイナーやブランドとのコラボとは全く意味合いが違う。そもそもいつもTシャツばかり気にしているわけではないし、第一コレクションではないのだ。

 

インラインの底上げをしたい意図は分かるが

出典:ユニクロ公式オンラインストア

 

最近のインラインのラインナップを見てみると、今まで極々ベーシックに軸足を置いていた傾向だったものに微かな変化を感じ取れる。即ち、若干トレンドを意識した、変化のあるアイテムのリリースが目立つのだ。カーゴパンツやタックワイドパンツ、オープンカラーシャツもデザインの入ったものを押し出したりしている。

得意分野をインライン界隈で伸ばしていくという要素も見て取れ、特に昨季発売されたデニムジャケットやデニムシャツはそれなりの高評価を得た。

インラインの底上げをしたい、「ユニクロ」自体のブランディングをしていきたいという意図が見え隠れする気がするが、もし本当にそうだとしたらあまり賛同できない。

ファッション感度の高くない層からすれば悪くない変化かも知れないが、そうでない層にはその程度では真には刺さらない。話題性の面でも今一つ突出したものになる可能性は低い。いくらパンツがワイド目になってタックが入っても、デニムジャケットが「本家」に肉薄しそうな高クオリティであっても、それが高感度の層にとってワードローブの一軍になり得るかと言えば必ずしもそうではないのだ。

特別ラインのリリースによって、ファッション感度が高い層をも取り込む事こそがユニクロがここまで推し進めてきたブランディング。それは全くの正解であり、大いに賛同できることだった。事実、特別コレクションのアイテムの中にはファッションアディクト層が「一軍」として愛用しているアイテムもそれなりに在ったりしているわけである。

「オシャレな人もユニクロを着る、若しくは興味がある。」

こういった風潮を保持する事にプライオリティを置くべきなのではないだろうか。

 

小物の弱さは相変わらず

出典:ユニクロ公式オンラインストア

 

あと一点。小物の弱さが相変わらずなのである。

確かに、イギリスの有名な某媒体で、ユニクロのラウンドミニショルダーバッグが「世界一の注目アイテム」に選出されるという快挙を達成したが、実際にこのバッグ、琴線に触れるアイテムだったのかと言われると微妙なところだった。では何故?申し訳ないがその理由は今一つ不明だ。

ユニクロのバッグやアクセサリー類、シューズ等のファッション小物類のクオリティは昔から識者達に酷評され続けている。ライバルであり兄弟ブランドであるGUとは随分水を開けられてしまった。

最もクオリティの高い小物(小物と呼べるのかは微妙だが)はこちらで紹介した UVカットコンパクトアンブレラだと思う。素晴らしい傘だが、それでいいのかと疑問は残るところだ。ユニクロほどの存在だ。シューズやバッグの定番名品をそろそろ生み出して欲しい。

補足すると、ユニクロU(ユー)やJWアンダーソン等の特別ラインでは小物の名品が多々存在している。

最近のトレンドの傾向を踏まえると、気の利いた小物のラインナップがないとなかなかブランドとしては厳しい。このままだと、GUだけではなく他のプチプラブランドに逆転を許す事態も起こりかねないのではと危惧してしまう。

 

まとめ

出典:ユニクロ公式オンラインストア

 

今まで「何してんの?」と思いかけるタイミングでユニクロはとんでもない仕掛けを放り込んできた。ホワイトマウンテニアリングコラボや+J(プラスジェイ)等である。

こんな記事を書き、ユニクロ実店舗に足を運ぶ機会が少なくなっているタイミングだ。ひょっとすると「そうきたか」等と唸るような何かが密かに水面下で遂行されている可能性は大いにあり得る。

最後に補足だが、今回述べてきた傾向や論理はあくまでもメンズに限った話だ。レディースはマメ・クロゴウチコラボ等が話題をさらい、相変わらず堅調。広告塔たる綾瀬はるかさんも相変わらず美しい・・・もとい、イメージとしてバッチリ定着しており、彼女が生来持っている明るくポジティブな印象の恩恵を過度なほど受けていて不穏さは微塵も感じられない。

一介のファッションブロガーとしても、ユニクロのトピックスが少なく、どことなく不穏で話題に挙げにくい現状は好ましくない。何かパッと明るく、普段の倍速でキーボードを打って記事を上げたくなるような出来事が起きるのを心待ちにしている。最早国民の「共通言語」と言っても過言ではない程のビッグな存在へと成長したユニクロ。若干元気のない現状からの巻き返しを心から期待している。

 

 

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