※本記事はTHE FIRST SLAM DUNKのネタバレを含みます。ご注意ください。
やっと「THE FIRST SLAM DUNK」観てきた
出典:THE FIRST SLAM DUNK公式サイト
2022年末に公開された映画「THE FIRST SLAM DUNK(ザ・ファーストスラムダンク)」ですが、年末から兎に角多忙を極めていた私はなかなか映画館に行く時間が確保できず、鑑賞できずにいました(絶え間なくブログ記事を挙げていたじゃないか?そうです、年末にだいぶ書き溜めてました。悪しからず)。
しかし遂に「ここしかない」という暇を見つけ、隣町のイオンシネマに乗り込んできたわけです。
公開から2か月近くが経とうとしているというのに、非常に多くの座席が埋まっているのに驚きました。いやいや、そうでしょう。注目度、評判の高さ、そして特に私のように青春時代にスラムダンクに夢中になった世代は何十年も待った待望の最新映像作品なのですから。
THE FIRST SLAM DUNKの感想
とにかく感動した(オープニング)
とにかく感動した。これをまず先に言いたい。言わずにはいられない。
オープニング。宮城リョータの過去が導入として映し出され、その後です。手書きのイラストから浮き上がるというメタ的な演出から登場する湘北高校の面々。一人一人が歩いてこちらに向かってきます。
やはり、紙と手描きのフィジカルな作画に拘る井上雄彦先生の作品だから成しえた作品であるというのがベースなのは間違いないと感じました。作画が美しすぎて格好良すぎる。CGだと賛否両論あるようですが、私は圧倒的に「賛」の方です。
ここで流れるのはThe Birthdayの「LOVE ROCKETS」。湘北メンバーの格好良さと、「数十年ぶりに(映像として)再会した」感動とこのテーマ曲の融合具合が素晴らしい。格好良すぎて、背中がゾクゾクしました。The Birthdayというよりは、我々の年代からすると「THEE MICHELLE GUN ELEPHANT(ミッシェルガンエレファント)のチバさんの声だという感じですが。この映画のオープニングにThe Biethdayが起用された幸福を喜びたい気持ちになりました。最高です。
出来る限り予備情報を入れずに観ましたが、山王工業戦が題材だという事と、アニメーションの質やコンセプトと言った最低限の情報はどうしても入ってきていました。もしもそれも知らずに観に行って、「山王戦が描かれる」とここで判明していたとしたら、私は何らかの言葉(多分感嘆と驚愕が入り混じったもの)を大声で発して周囲に迷惑をかけていたことでしょう・・・。
新たな目線で表現された臨場感
今回のコンセプトの一つは試合を描くうえでの「目線」だったと思います。コミックスや昔のアニメでは視聴者目線で描かれており(というか殆どのスポーツ作品はそうでしょう)、試合舞台を俯瞰してみるような感覚でしたが、今回はコート上の選手たちの目線が多く、本当の「試合」の中に自分が入り込んでいる・・・は言い過ぎですが、実際の試合を観戦しているような雰囲気を感じました。
後述しますが、そのコンセプトのお陰でオールドファンが大好きな名シーンの視点が変わっていたり、サラッと流されたりカットされていていたりもしましたが、今回はプライオリティが随分違ったわけで、それはそれでいいのではないかと思いました。
実際の試合の構成や流れ、それぞれの選手の位置関係等がコミックスよりもよく伝わり、こういう点も極めて感情を揺さぶられる要素だと思いました。それに、何と言っても圧倒的に新鮮でしたね。
新たな目線で描かれて分かったこと
先述のコンセプトで山王戦が描かれたことで、個人的には新たに感じたこと、判明したこと等がいくつかありました。以下列挙します。
- 三井のシュートフォームの美しさが群を抜いている
作中屈指のシューター・三井寿。彼のシュートフォームは群を抜いて美しかった。これは間違いなく意図的に他のキャラクターと差をつけて作られていたと感じます。三井のシュートはただ美しいだけではなく、彼が抱えるドラマ性やバックグラウンドからくる強さを兼ね備えたものですが、それが遺憾なく表現されていたと思います。
- 松本が実は凄い
山王工業の6番松本。下の名前も(少なくともオリジンのコミックス刊行当初は)公式にはないモブながら、勿論山王のレギュラーだし、「沢北がいなければいけばどこでもエース」と作中でも語られている(こう語ったのは海南の武藤。彼もまた不遇なモブ)確かな実力者ではあります。しかし、やっぱりどこか三井の噛ませ犬のようなイメージが付きまとい、沢北や河田兄、深津といった山王の実力者たちの陰に隠れがちの不遇な奴です。しかし、THE FIRST SLAM DUNKでは凄まじいクイックネスやテクニックがそれなりに丁寧に描かれており(というか、映像化することで判明した)、三井にやられるシーンは結局目立ちはしますが、少しだけイメージアップになったのではないかと思いました(この試合は一之倉が一応スタメンだったのですが冒頭で「山王工業」と紹介されて登場した5人にきちんと入ってもいました。)。
- 野辺がゴリラみたいな声
今回、昔のアニメ版とは声優陣が刷新されているので、湘北メンバー等の声に関しては従来版とのギャップについてああだこうだとネット上でも議論がなされているのですが、山王メンバーに関しては初の映像化。山王メンバーの中で、特に野辺の声のインパクトが強かったという感想を持っています。というのも、かなり極端なゴリラ声。今更ですが高校生とはとても思えない!ちょっと面白かったですが、彼のキャラクターにピッタリでした。あと、ついでに一之倉の声はちょっぴり渋かったです。
- 選手の配置や従来の役割が良くわかった
私はバスケットは普段観らず、選手の役割や配置などについて深く考えたことがありませんでした。スラムダンクをコミックスで読んでいた時も朧気にイメージしていた程度だし、そもそもカット割りされているコミックスでは表現に限界があったと思います。
しかし、THE FIRST SLAM DUNKは先述した様にコート上で何が起こっているのか等をリアルタイムで臨場感たっぷりに描いており、実際の試合の流れを忠実に現わす場面が多かった為、その辺りが良く分かりました。
例えば湘北のオフェンス時、基本的にポイントガードの宮城が司令塔としてパスを捌き(一度パスを出し、受け手が展開ができなければ宮城に戻す、それを繰り返しながらゲームを作ると言った場面が何度も見られた)、そのサポートはガードフォワードの三井、三井が動けなければスモールフォワードの流川が担う。桜木と赤木はボール運びには基本的に加わらず仕事場はゴール下。だから山王のハイプレスはボールの出発点であり司令塔である宮城が初手のターゲットになる(深津の凄みも良く表現されていた)。
ディフェンス時は赤木と桜木はスッとゴール下付近に駆けていき、前面に宮城が配置される。そこからオフェンスに移る時はまた宮城を中心にボールを運ぶ。
桜木はバスケットを始めて4カ月の素人ですが、オフェンス時もディフェンス時もきちんと自分の持ち場で待ち構える動きは出来ていたように思えました。素人とはいえ、その辺りの基本的な戦術面はきちんと身についていたという事だと思います。これはコミックスや昔のアニメでは分からないことでした。なんだかんだで素人・桜木はきちんとバスケットマンになっていたのです。
「主人公宮城リョータ」
出典:THE FIRST SLAM DUNK公式サイト
概報の通り、今回のTHE FIRST SLAM DUNKの主人公は宮城リョータ。これは事前に入ってきていた情報だったのですが、個人的には実はやや懐疑的に感じていました。主人公の交代だなんて、果たして大丈夫なのだろうか・・・、と。
思えば、湘北メンバーでは桜木花道は主人公なので勿論ですが、赤木、流川、三井、そして木暮・・・彼等は十分なくらいそのストーリーが深堀りされていたと思えますが、宮城は・・・と考えてみたところ、少し物足りなかった気がします。
それが今回、出身が沖縄という事、家族に起こった事件等が(多分)新たに設定されました。そうすると元々多くが語られなかった彼のドラマは一気に膨らみだします。なるほど、元々みんなが知っている山王戦を新しい作品としてリメイクするには、とても良い着眼点になり得ますね。山王戦を宮城の目線を軸足に再構築する。同じシーンでもまた違った印象になってきます。
また、実は過去に三井と邂逅していたという設定もエモーショナルだし、一時休んでいた原因が三井と喧嘩して怪我をしたからではなく、その後バイクで事故を起こしていたからであり、その後に沖縄を訪って死んだ兄との思い出の場所で覚悟を固めるという経緯があった・・・という設定を以て、彼の背景は原作よりも一層強固になり得ました。まさに主人公並みの厚遇。
画像のシーンが持つ重みも原作コミックの時とは段違いです。正直言って涙が出ました。最高だぜ、リョータ!
因みに、主人公から降格?扱いとなった桜木花道ですが、より俯瞰して彼の活躍を描くことで、個人的には極めて魅力的に見えました。それに、彼の一つ一つのプレーの持つ重要性が一層際立ち、コミックス時は冷や冷やして見ていたものが、妙に頼り甲斐のあるキャラクターになっていたように思えます。もしや桜木は主人公よりもこちらの方が(いい意味で)合っていたのではと思ったくらいでした。
まとめ
出典:THE FIRST SLAM DUNK公式サイト
色々語ってきましたが、正直言って期待以上でした。何と言うか・・・本当はあれがああだった、これがこうだった等と語る必要はないのです。言いたいことは分かります。オールドファンが大好きな名シーンが割愛されていたり、そもそも登場しないキャラクターがいたり、宮城にフィーチャーし過ぎて重くなっている感じがしたり、過去シーンが入って試合の流れが中断されている印象があったり・・・しかし、
つべこべ言う必要はない、ただただ最高だろう!
そう、言いたい。圧倒的に声を大にして!
ただし、コミックス等を以て原作のストーリーをご存知ない方にとっては、だいぶん端折られている部分もあった為、7~8割くらいの理解度になってしまうと思います。オールドファンや、スラムダンクのストーリーを把握している方ならば、文句なしの120点。見ないと人生に悔いを残してしまうレベルの名作。
まだいまだにオープニングのThe Biethday「LOVE ROCKETS」とエンディングの10-FEET「第ゼロ感」が頭の中で流れ続けています・・・。この2曲も、まだもしも聴いたことがないという方は聴いて欲しい・・・。
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同じはてなブロガーのテイルズさんもレビュー記事を挙げておられます。テイルズさん、私もやっと観に行きましたよ!
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