気骨溢れる国産ブランドを推したい
これまで、数々の国産ブランドをご紹介してきました。服飾の文化は遥か昔欧州で始まり、やがて欧州人によって海を渡りアメリカ大陸に伝わりました。
日本は勿論開国するまでは洋装の文化がなく(だから幕末にブーツを履いていた坂本龍馬のセンスは偉大!)、明治に入ってからようやく本格的にその歩みは始まります。
それから時は経ち、第二次世界大戦後、日本はアメリカとある意味密に関係しながら新たな文化を形成していくわけですが、この間、大きくアメリカンカジュアルやアメリカントラッドの影響を受けることになります。
今回ご紹介するJackman(ジャックマン)はまさにそんな時代の中で生まれたブランド。単純なアメカジやアメトラ系のブランドとはまるで方向性や契機は異なりますが、日本とアメリカの文化に深く関わる面白い出自と特徴を持っています。
Jackman(ジャックマン)は評判通りの名ブランドなのか
Jackman(ジャックマン)の評判
出典:楽天
Jackman(ジャックマン)は大手セレクトショップではあまり見かけませんが、ツウ好みのショップバイヤーの信頼を勝ち取っており、楽天やAmazonでも購入可能。意外に広い販路を確保していると言えそうです。
トレンドに即したアイテムを作っている今どきのブランドではないので一般的な知名度が高いというわけではありませんが、ブランドとしてもその辺りのど真ん中を狙っているわけではなく、素材と質に拘ったベーシックな路線を貫いているといった印象。ただ、最近はカットソーやパンツ、ジャケット等の定番ラインナップのシルエットがやや緩めに変化しており、万人が着やすいようにマイナーチェンジしている雰囲気も感じられます。
ただ、真摯なモノ作りをする精神は微塵の揺らぎもなく、ファクトリーブランドらしいコストパフォーマンスの良さも変わりません。Jackman(ジャックマン)は何とも味わい深い、日本人による日本人の為の名ブランドなのです。
Jackman(ジャックマン)とは
出典:Jackman(ジャックマン)公式HP
1949年、福井県武生市に田邊莫大製作所(タナベメリヤス)という小さな工場が生まれます。創業者は田辺貢氏。
戦後、GHQのマッカーサーは母国から離れ兵役に従事する駐日米軍兵達の為に当時3Aに所属していたサンフランシスコ・シールズというチームを招聘し、日本チームとの親善試合を開催します。その試合を観に行った田辺氏はベースボールストッキングに着目。シールズの選手たちが使用していたストッキングは日本のものとは違う一体型の足掛け式のものでした。その時田辺氏は「これならうちでも作れる」と確信したとか。
翌1950年、タナベメリヤスはストッキングの製造を開始。アメリカ式ベースボールストッキングを完成させた日本初の企業となりました。
出典:Jackman(ジャックマン)公式HP
その後、甲子園出場校へ無償でストッキングを提供すると瞬く間にその名は轟き、全国でも膨大なシェアを誇るようになっていきます。
タナベメリヤスはブランド名を「ヒットユニオン」としてスポーツ用品メーカーとして歩み、「Jackman(ジャックマン)」ブランドは1970年頃に誕生。Jackman(ジャックマン)もヒットユニオンと同じくスポーツ用品ブランドでしたが2011年にリブランディングし、ファッション性に特化したアパレルブランドとして再出発しました。
出典:Jackman(ジャックマン)公式HP
Jackman(ジャックマン)はホームランバッターという意味を持ち、同ブランドのアイテムはベースボールウェアのディテールを元にしたもの、野球用語をネーミングに使用した物がたくさん存在しています。そしてスタッフは全員野球好き。
戦後、田辺貢氏が野球の親善試合を観戦したところから始まったタナベメリヤスの精神やロマンを、時を経てもなお色濃く引き継いでいる事が良く理解できます。
Jackman(ジャックマン)は戦後の日本と共に歩んできた、何だかロマンティックな物語を背景に持つブランドだと言えるのかもしれません。
Jackman(ジャックマン)の特徴
出典:朝日新聞デジタル
「日米野球の時、ベーブ・ルースは何を着ていたか?」
「メジャーリーグのユニフォームを参考にしている。私服まで調べる。」
「時代によって移ろう、観客の服装はどうか。」
そんなことをとことん調べ、Jackman(ジャックマン)のデザインは成り立っているとのこと。あくまでJackman(ジャックマン)の精神の根本には野球が存在していて、それはスポーツウェアメーカーだった頃から何も変わっていないのです。
「うちのデザインミーティングはオーナーも同席するんですけれど、『内角高め、ストライクギリギリを狙った商品が良いのでは?』という会話をしています(笑)。そこに、例えば『いや、内角は低めのほうが良いのでは?』と入ってくる人がいる。外から見ると、何をしているか分からないと思いますが(笑)」
引用:朝日新聞デジタル
出典:Jackman(ジャックマン)公式HP
歴史あるファクトリーブランドであるJackman(ジャックマン)の評価は海外でも高く、あからさまなロゴドンアイテムを作らなくとも「分かる人にはわかる」良さがあると認識されているとか。生地への拘り、伝統に裏打ちされた縫製技術、奇をてらわない真摯な姿勢はまさしく「日本らしさ」の塊だといえましょう。
Jackman(ジャックマン)の野球に因んだアイテム
出典:楽天
まずはベースボールキャップ。様々なタイプがラインナップされていますがこちらはJackman(ジャックマン)が得意とするジャージー素材を使用したタイプ。モダナイズされたシルエットで素材感も良く、大人っぽく被れそうですね。
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出典:楽天
基本のベースボールシャツもJackman(ジャックマン)流のアレンジが効いています。再生セルロースとナイロンを合わせたものにバイオ加工を施し、その様はヴィンテージそのもの。
出典:楽天
無論コーチジャケットも。コーチジャケットと言えばアメフトのコーチジャケットが有名ですが野球のコーチも勿論アリです。
出典:楽天
こちらはオーナーズポロシャツ。球団オーナーが着ていたポロシャツがモチーフの様子。先述したように当時の様子を隅々までモニタリングし、オーナーがこんなポロシャツを着ていた様が見受けられたのでしょう。スウェット素材の長袖ポロになっています。面白いですね。「オーナーズ」と名付けられたアイテムは他にカーディガンやジャケット等もラインナップされています。
出典:楽天
こちらはスペクターコート。スペクターとは観戦者の意味で、要するに観客が着ていたようなコートという事です。ダブル仕様でリラックスフィットのこのコートはカジュアル用途ながらも程よくきちんと感も醸すことができて、活躍するシーンの幅が広そうですね。
出典:楽天
英国のトラディショナルなブランド・ラベンハムと頻繁にコラボレーションするJackman(ジャックマン)。ラベンハムの名品「レイドン」にJackman(ジャックマン)のアーカイブに存在しているベースボールベストのデザインを掛け合わせています。
Jackman(ジャックマン)ピマギャザー(スウェット)パンツ(カーキ)レビュー
概要
それでは所有しているJackman(ジャックマン)のアイテムをレビューします。
こちらは2023年の春頃に購入したもの。当ブログでは初出になります。
先述したようにJackman(ジャックマン)のアイテムは元々ベーシックで、トレンド寄りといった印象は薄かったのですが、このスウェットパンツは極めてこなれており、でもタナベメリヤスの精神もしっかりと感じられる逸品になっています。Jackman(ジャックマン)といえば前身のタナベメリヤスが作った野球用ストッキングが原点であり、カットソーやスウェットが最も得意な分野。パンツに関してもカットソー、スウェット生地の物が多くラインナップされています。
生地
商品名からわかるように、このパンツの生地はピマコットン。触ってみると程よい厚みでツヤがあり、柔らかく軽い。
スペイン産の上質なピマコットンを高密度で編み上げ、糸が本来持つ滑らかさ、柔らかさが存分に表現されています。
極限まで高密度で編まれている為洗濯後の型崩れの心配もなく、ガンガン洗濯機にかけることが出来る点も魅力。
これをスウェットパンツと呼んで良いのか。いや、カットソーパンツと言った方が正しいように思えます。
ディテール
このパンツの肝の一つと言えるディテールがこのギャザー。立体感と程よいゆとりを齎してくれ、タックインした際にはアクセントにもなります。
存在感のあるスピンドルもポイント。ベルトループレスで、このスピンドルで締めます。ワンサイズ上げてこれで絞って穿くのが個人的には好み。
凝ったデザインだなと唸ったのがこの前後対象のスラッシュポケット。バックのスラッシュポケットはデザイン的には面白いですが用途は思いつきませんが(笑)。
裾リブはきつすぎない作りなのでシルエットに干渉せずグッドです。
シルエット
かなりゆったりとしたシルエットですがしっかりテーパードしておりだらしなくなりません。穿いてみると上質な生地感が手伝い、驚くほど品のある雰囲気になります。スウェットパンツなのに上品。こういうパンツってなかなかあるようでないので助かります。
着用イメージ(サイズ感、コーデ)
トップス:ラコステL12.12
パンツ:Jackman(ジャックマン)
シューズ:パラブーツ・コロー
腕時計:ハミルトン・PSR
ブレスレット:ファーストアメリカントレーダーズ
173㎝63㎏でMサイズを着用。ゆったりとしたサイズ感なのでだいぶんスピンドルを締めて着用しています。もう少しジャストで穿きたいならSサイズでも良かったでしょう。
シンプルにラコステのL12.12とパラブーツのローファーで合わせていますが、基本的にどんなスタイルとの相性も悪くないかと思います。ただ、パンツの綺麗な質感やシルエットを活かしたいならタックインが◎ではないでしょうか。
ピマコットン生地は光沢感と落ち感が抜群で、ギャザーのリラックス感もなかなか効いています。丁度良い厚みなので真夏も穿け、適応シーズンの幅は広いでしょう。
件(くだん)の前後対象スラッシュポケットはご覧の通り。面白いデザインですね。
まとめ
戦後、ベースボールストッキングの製造からスタートし、現代ではファッションシーンに於いて確かな存在感を示すJackman(ジャックマン)。確かなバックグラウンドと揺ぎ無い日本特有の技術力の確かさ・拘りこそが最大の魅力でありながら、近年はデザイン性も着実に向上しており、確かに服好きからは一目置かれる存在・・・いや、目が離せないブランドになっているといえるかもしれません。
Jackman(ジャックマン)がもつ背景は、アメリカのカルチャーに牽引された戦後日本の姿そのものであり、その中で成長してきたこの国を体現しているといっても過言ではないでしょう。そして、それだけでは言い尽くせないようなロマンも詰まっています。
出典:朝日新聞デジタル
今回ご紹介したスウェットパンツ以外にも、DOTSUME(ドツメ)Tシャツやルーキーパンツ、ワッフルミッドネック等数々の名品がラインナップされているJackman(ジャックマン)。もしも興味を持たれたなら是非チェックしてみて下さい。
おまけ
これは、チュールを待っているララでした。
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