「シン・ウルトラマン 空想特撮映画」公開
出典:映画『シン・ウルトラマン』公式サイト (shin-ultraman.jp)
映画「シン・ウルトラマン」が公開されました。
情報が公になってからというもの、まだかまだかと心待ちにしていたこともあり、公開初日に映画館で鑑賞。結論から言うと、かなり面白かったです。
最近「ファッション以外」カテゴリーの割合が増えてきた当ブログですが、今回も「シン・ウルトラマン」の魅力をネタバレなしでお伝えしたくなったので、その内容になります。
エヴァンゲリヲン、ゴジラに続き「シン」を冠し、鬼才・庵野秀明に手掛けられたウルトラマン。あくまで個人的視点ですが感じたことを交えて述べていきます。
「庵野秀明」サイドから
出典:庵野秀明監督が初めて語る経営者としての10年(上) | 『週刊ダイヤモンド』特別レポート | ダイヤモンド・オンライン
庵野秀明氏を、ジブリにいた頃は知りませんでしたが、深夜アニメ時代の「新世紀エヴァンゲリヲン」以来ずっと追い続けています。
こちらの記事でも、庵野氏が長年の「自分なりの決着」をつけた「シン・エヴァンゲリオン」について述べました。
様々な葛藤や自問自答を重ね、監督が出したエヴァの答えに、私は深く納得したのです。
エヴァは自分の青春であり、(勝手に)庵野監督と共にその着地点を探していました。
出典:【シンゴジラ】感想:強烈で救いようのない絶望とあきらめないという希望 - anko alive
シン・エヴァンゲリオンの公開から遡ること数年前の2016年、庵野監督はシン・ゴジラを手掛けます(今回のシン・ウルトラマンと同じく監督は樋口真嗣氏)。
このシン・ゴジラは極めて面白かった。様々な面で秀逸な出来で、かつての特撮ものの金字塔にして日本が世界に誇る映画だった「ゴジラ」を、自らのフィルターにかけ、新感覚に仕上げていました。
勿論オリジナルの要素を軽視せず、十分にリスペクトも感じさせてくれたし、その部分を踏襲しながら庵野氏の感覚や得意なロジックも盛り込んであり、往年のゴジラファンも、ヱヴァンゲリヲンなどの庵野ファンも納得の出来だったでしょう。
私は劇場で鑑賞した後もサブスクやロードショー等で5回くらい観たほど夢中になっていました。
庵野氏のルーツには特撮があり、ゴジラもウルトラマンも(あと、ラピュタの巨神兵も)ヱヴァンゲリヲンの要素の一部と言われているし、実際にそう思われる場面は数多あります。
「ウルトラマン」サイドから
実際に初代ウルトラマンがテレビで放送されたのは1960年代なので「世代」ではないのですが、私が少年の時代にも再放送や続編が放送されており、ウルトラマンはまさしく「ヒーロー」像そのものでした。
その頃はまだまだ特撮ものが十分子供たちを魅了している時代でした。ウルトラマンに戦隊シリーズ、仮面ライダー・・・。
シン・ゴジラも十分ノスタルジーに訴えかけてくる作品でしたが、ウルトラマンも同様です。
ただ、「ゴジラ」よりも、題材としての「ウルトラマン」というのは現代のアダルトな存在に対して通用する内容に作り上げるのはハードルが高いような気がしました。だからこそ余計に興味がそそられるわけです。
シン・ウルトラマンを鑑賞した感想(ネタバレなし)
出典:映画『シン・ウルトラマン』公式サイト (shin-ultraman.jp)
設定
「時代」もあるのでしょうが、オリジナルのウルトラマン時代には曖昧、若しくはそのものが存在しなかった「設定」が幾つかロジカルに明確化されていました。例えば「何故ウルトラマンは地球のために戦うのか」「どうやって怪獣(シン・ウルトラマンでは「禍威獣」)のネーミングはなされているのか」「兵器はどうやって、どこから仕入れているのか」「政府と禍特対の関係性如何」等々・・・。
様々な部分が明らかになってもまだまだ突っ込みたいところは少々はあったものの(例えば、禍威獣が現れるのが日常になっている日本なのに普通に日本人が観光を楽しんでいる描写はどうなのか等)、随分辻褄が合っていたと思います。
辻褄が合えば、観ていて合点がいきます。そしてそれは大人にも通用する作品として成り立つという図式になっていくと私は思いました。
オマージュが盛りだくさん
「シン・ゴジラ」のキャストがそのままの役柄で出演している等、過去作品へのオマージュもありました。
劇中の音楽も見逃しません。
シン・ゴジラではエヴァの有名な劇中音楽が響き、往年のエヴァファンを大いに喜ばせましたが、シン・ウルトラマンではオリジナルのウルトラマンの劇中音楽のアレンジ版やシン・ゴジラのものも一部発見しています。こういう演出はファンには嬉しいものです。
ストーリー
ストーリーは基本的に大枠はオリジナルへのリスペクトが前面に出ていると思いました。ほぼ筋が同じというセクションもあったほど。
ただ、日本に次々に現れる巨大生命体「禍威獣」の存在はエヴァの「使徒」を想起させるものでしたし、「禍特対」はオリジナルの科学特捜隊というよりはシン・ゴジラの対策チームの醸す雰囲気に近かったと思います(構成はオリジナルを踏襲していましたが)。
先述したようにウルトラマンが地球のために戦う契機や、禍威獣たちが暴れる、若しくは地球を侵略しようとする動機などに関してはやはり庵野氏らしさというか、エッセンスが極めて強く感じられるものでした。
登場する怪獣たちもオリジナルに登場する人気怪獣が目白押しで、つい懐かしい気持ちになったりもしました。
キャスティング
キャスティングは文句がありません。
主演の斎藤工さんの真摯な姿、相変わらず麗しい長澤まさみさん、西島秀俊さんも素晴らしくていう事なし。そして個人的には元ももクロの早見あかりさんはヒロインを食っているのではというほど存在感がありました。
因みに高橋一生さんと山寺宏一さんが声のみ出演しています。高橋一生さんはすぐわかりましたが、山寺宏一さんはさすがは七色の声の持ち主なのでエンドロールで分かって感服しました。凄いですね、本当に。
シン・ウルトラマンの姿
出典:シン・ウルトラマンの姿|映画『シン・ウルトラマン』公式サイト (shin-ultraman.jp)
元々円谷プロでキャラクターデザインをしていた故・成田淳氏が描いた様々なウルトラマンのイメージを融合させた肖像画「真実と正義と美の化身」こそ、今回「シン・ウルトラマン」で庵野氏が描きたかったウルトラマンの姿だったそうです。
極めてエポックな「ウルトラマン」という存在。それを現代に蘇らせる際にどんな姿が相応しいのか。
その答えがこれだったそうです。
このウルトラマンにはファスナーを隠すための背鰭も、眼ののぞき穴もありません。実際に人間が中に入って撮影していた特撮時代には必須だったそれらは、CGで製作する今回除去することが出来ます。
そして、カラータイマーの除去。
「3分間しか地球上で活動できない」
ウルトラマンの非常に有名な設定。
これをマイナーチェンジすることで、カラータイマーを除去し成田氏の肖像画通りに表現することが出来る。
「究極に美しいウルトラマン」
これが今回企画・脚本を手掛けた庵野氏の拘りだったのです。
まとめ
出典:シン・ウルトラマンの姿|映画『シン・ウルトラマン』公式サイト (shin-ultraman.jp)
以上、特撮マニアでもウルトラマンオタクでもない身ではありますが、自分なりの見解を述べてきました。
「シン」を冠した庵野氏の作品はこれで3つ目。次は「シン・仮面ライダー」が控えています。
エヴァンゲリオンとの「闘い」を終えても、新しい挑戦を続けている庵野氏。勿論苦悩や苦闘を経ての製作だったのは間違いないのでしょうが、自分が幼い頃に追い続けたものを具現化し、解釈を加えて表現できていることに一抹の羨望の念を抱きます。
今回の「シン・ウルトラマン」は、ウルトラマンに対してノスタルジーを感じる世代、ヱヴァンゲリヲンやシン・ゴジラを観てきた方々、そして全くそれらに触れてこなかった方々も十分楽しめる内容になっているかと思います。
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